Apple Computerが、iPodユーザーの聴力低下を防ぐ適切な対策を施さなかったとして、ルイジアナ州在住のある男性が同社を相手取り集団代表訴訟を起こした。
この訴訟は、米国時間31日にサンノゼの米連邦地方裁判所で起こされた。このなかで原告側は、115デシベルの音量で1日に28秒間音楽を聴くと徐々に聴力が低下する可能性があることを示唆する研究結果が出ているにもかかわらず、iPodは同等レベルの最大音量で再生可能になっていると主張している。この訴訟は、John Kiel PattersonおよびiPod購入者全員に代わる代理訴訟の形式をとっており、Appleに対して、iPodユーザーが被った聴力障害に対する補償金と、iPodから得た利益の一部を賠償金として支払うように求めている。
さらに、Appleは、iPodの出力を100dBに抑えるためのソフトウェアアップデートと、外部ノイズを遮断するヘッドフォンを提供することも求めてられている。
「Appleの行為により、数百万人の消費者が聴力障害の危険にさらされている」(同裁判の訴状)
Apple関係者からはこの件についてのコメントは得られなかった。iPodをめぐっては、傷付きやすい本体に関するものなど、ほかにもいくつかの訴訟が起こされていた。また、初期のiPodに搭載されていたバッテリの駆動時間に関する訴訟では、すでに和解が成立している。
デジタル音楽プレイヤーに関しては、大音量での使用を長時間続けると聴覚に支障をきたす危険があるとして専門家らが注意を呼びかけていた。今回の訴訟の前には、こうした専門家のコメントを引用したニュースが複数報じられていた。
Appleも、iPodのユーザーマニュアルに「聴力障害の回避」というセクションを設け、顧客に注意を呼びかけている。
Appleのマニュアルには、「警告:イヤフォンあるいはヘッドフォンを大音量で使い続けると聴力を永久に失う場合があります。大音量には徐々に慣れてしまい、それが普通の音量のように感じられてきますが、その音量が聴覚に害を与える可能性があります。そうならないよう、iPodの音量は安全なレベルに抑えてください」との記述がある。
原告側は、Appleの警告が適切でないとし、その理由として同社がユーザーに対して、何が「大音量」あるいは「安全なレベル」にあたるのかが具体的に示されていない点を挙げている。
フランスでは、AppleにiPodの音量を最大100デシベルに制限することを求める命令が下されているが、米国では同様の措置はとられておらず、しかも100デシベルでも「安全とはいえない」と、原告側は主張している。
原告側は訴状のなかで、NIOSH(国立労働安全衛生研究所)のデータを引用しているが、それによると安全に音楽を聴ける許容時間は85デシベルで1日8時間で、音量が5dB上がるごとに許容時間は半減するという。
なお、原告側の弁護士が所属するHagens Berman Sobol Shapiroは、iPodの傷付きやすさに関する裁判でAppleを提訴した2つの法律事務所の1つだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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