サンフランシスコ発--活況を呈しているiPod用アクセサリ市場に成熟の兆候が見え始めている。
Macworldに集ったアクセサリーメーカーの数をみれば、そのことは明らかだ。また、Best BuyやCircuit Cityといった大手量販店の店頭でも、そのことがはっきりとわかる。これらの店舗では、かなりのスペースを割いてiPod関連製品を販売している。また、コンピュータ関連の小売店のみならず、コンビニエンスストアや世界屈指の高級ブティックですら、iPod用のアクセサリを置いているところがある。
数年前には一握りの新興企業しかなかったこの市場は、わずかな期間で大きく様変わりした。
「競争が激しくなっている」と、iPod用アクセサリの専業メーカー、Digital Lifestyle Outfitters(DLO)でマーケティング担当ディレクターを務めるBrian Baucomはいう。この市場は、かつてはDLOやGriffin Technology、Belkinといった少数の企業がほとんどを支配していた。だが、今では200社以上のライバルが存在するとBaucomは言う。
競争の激化とともに、市場規模も拡大している。調査会社のNPDによると、iPod用アクセサリの市場規模は昨年8億5000万ドルを上回ったという。なお、この数字にはオンラインでの売上は含まれていない。
さらにiPod自体の売上げが飛躍的に増加し続けていることから、今年は関連製品の市場も規模が倍増する可能性があると、NPDのアナリストStephen Bakerは述べている。
もともとiPodのケースやカーステレオ用アダプタを手にこの市場に参入した小さな企業が、一夜にして成功を遂げ、いまでは大規模な事業を展開している例もある。
Gary Bartは2002年にこの市場に参入したが、その際には初めて仕上げたiPod用ケースのプロトタイプしかなかった。ところが、Bartの経営するXtremeMacは、いまでは60人の従業員を抱え、1600平方フィートもの巨大なブースを構えるまでになった。同社のブースには、スタイリッシュな新しいロゴとキャッチフレーズ「The iPod Xperts(iPodのエキスパート)」を掲げられている。同社は来年のMacworldではブースのサイズを2倍に拡大することを計画しているが、今年それだけ大規模なブースを構えていたのはAppleだけだった。
また、PC周辺機器関連の大手メーカーの多くもiPodのアドオン製品を投入している。初期にこの市場をリードしていたのはBelkinだが、KensingtonやTargus International、Logitech(ロジクール)のような他のメーカーから、さまざまなiPod関連製品が登場してきている。そして、より幅広い品揃えを持つメーカーのほうが有利だと、NPDのBakerのBakerは指摘する。
「大手メーカーは、小売業者との関係全体を利用して、さまざまなジャンルのアクセサリを置いてもらうことが可能だが、DLOやGriffin、XtremeMacにはそんなまねはできない」とBakerはいう。「そのため、これらの専業メーカーでは、小回りを利かせて他にない製品を出すことで競争していく必要がある」(Baker)
Bakerによると、iPod用アクセサリを扱う小売店はますます珍しくなくなっているという。しかし、これらの製品は利幅が20〜50%もとれることから、TargetからUrban Outfittersまで、さまざまな小売業者におおいに好まれている。特に、iPod本体からほとんど利益を上げられない小売店にとって、アクセサリは魅力的だとBakerはいう。
どのメーカーも、競合他社や自社の製品よりも優れたものを出すために、常に戦いを繰り広げている。たとえば、スピーカーメーカーのJBLでは「JBL On Time」という新製品を投入した。この299ドルの製品には、目覚まし時計、iPod用のドック、そしてスピーカーの機能が搭載されている。
初のiPod対応目覚まし時計である99ドルの「iHome」は、スピーカーメーカー各社が見逃していたニッチ市場に対応してヒット商品となった。JBLは、デュアルアラーム機能とハイエンドスピーカーを搭載した自社の製品も寝室用のデジタル商品としてヒットすると期待している。
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