IntelとMicrosoftは長年にわたり、リビングルームへの進出を目指して似たような、しかし多くは異なる道を歩んできたが、そんな両社がついに共同で取り組みを進めることになった。
両社はここ2年ほど徐々に協力を進めていたが、今回の提携は、ユーザーが簡単に好きな番組を視聴できるようにすることが大変な作業であると両社が認識したことを物語っている。
IntelのDon MacDonald(Digital Home Groupバイスプレジデント)は米国時間3日、電話取材に対して、「これは簡単にできることではない。1つの企業ですべてをやろうとするのは困難だ」と述べた。
この数年間、Microsoftは「Windows XP Media Center」の普及に努めてきた。一方、Intelは「Entertainment PC」と呼ばれる同様のコンセプトを広めようとしてきた。初期のエンターテインメントPCは多くの場合、Microsoftのオペレーティングシステム(OS)を搭載していたが、複雑過ぎると評価されていた。また、一部では、映像の画質や他の問題に関して不満の声が上がっていた。
また、一般ユーザーにとってはPCでテレビの番組を観られるようにすることが困難な場合も多い。Media Center PCは通常、衛星放送用またはケーブルテレビ用のセットトップボックスとともに使用する必要がある。また、自宅のリビングルームに多額の金額をつぎ込む熱心なユーザー層で人気のあるHD(高品位)放送は、このようなコンピュータではサポートされていない。
「2〜3年前の、技術に詳しいユーザーや新しい物が好きなユーザーが相手なら、それでも良かった。しかし、一般の消費者に技術的な専門知識を期待してはいけない」(MacDonald)
しかし、MacDonaldによると、エンターテインメントPCを使いやすくするために、多くの努力がなされてきたという。Intelは新ブランド「Viiv」を立ち上げており、相互運用性が確認されたIntelチップやMicrosoftのMedia Center OSなどのコンポーネントを搭載するPCにラベルを付けて、そのことを示そうとしている。Viivブランドの最初のPCは、今四半期中に登場すると見られている。
「ほとんどの人は、この使用感がどのようなものかを知らない。その使用感を1度でも体験したら、やめられなくなるだろう」(MacDonald)
Intelと競合するAdvanced Micro Devices(AMD)でも、「Live」と呼ばれるエンターテインメントPCブランドを立ち上げる計画を発表している。
ユーザーが視聴を望むコンテンツに関しても強化が図られてきている。Microsoftはすでに、今年のホリデーシーズンまでには、セットトップボックスを別に用意しなくても、PCにケーブルテレビをつなぐだけでデジタル放送を観られるようにすると発表している。また同社は3日に衛星放送のDirecTVと提携したことを発表したが、この提携によってDirecTVの契約者はWindows PCやMicrosoftのソフトウェアが動作する他の機器でテレビ番組が観られるようになるという。なお、Intelも同様の契約をすでに結んでいる。
Microsoftは、Media Center OS搭載PCの売上が増加しているとしているが、ただしこれらの多くは以前として従来のデスクトップと同様にリビングルーム以外の場所で使われている。Media Center OSは2002年秋に最初のバージョンが発売されたが、これを搭載したPCはその後数年間でわずか200万台程度しか売れなかった。しかし新バージョンが10月に登場して以来、Media Center PCは250万台も販売されており、その結果累計の販売台数は650万台に達していると同社は述べている。
「タイミングがすべてだ」というMacDonaldは、このようなPCの特徴を活かす高速回線やホームネットワークが多くの家庭で使われるようになっているなかで、今回の提携が決まったという点を強調した。
コンピュータでテレビを観るというのは、テレビチューナーつきのPCがほとんど売られていない米国ではまだ馴染みのないものだ。しかしMacDonaldは、一部の国ではこうしたPCの使われ方が当たり前になっているとし、日本では一般ユーザー向けに販売されるPCの5台に4台がこうしたテレビ視聴機能を備えており、さらに家庭用コンピュータの約半数にはテレビチューナーが内蔵されていると付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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