NTTドコモは11月24日、子ども向けの三洋電機製FOMA端末「SA800i」を発表した。防犯ブザーを搭載し、子どもに危険が迫った場合には自動的に保護者の端末に電話をかける機能を備える。2006年3月の発売予定だ。
搭載された防犯ブザーのスイッチを引くと、約100dB(デシベル)のアラームが鳴ると同時に、事前に登録された最大3件の登録先に電話がかかる。さらに、受ける側が相手の居場所を確認できる「イマドコサーチ」サービスに契約していれば、GPSの位置情報がメッセージR(リクエスト)で送信される。これにより、SA800iを持った子どもに異常があれば、保護者はすぐに状況を把握できる。
このほか、子どもに危害を加えようとする人間が携帯電話を取り上げた場合も想定して、さまざまな安全策を取り入れた。事前に設定した暗証番号を入力せずに端末の電源を切ると、自動的に現在地の位置情報を保護者にメッセージRで送信する。その後も、設定した時間毎に自動的に電源が起動し、位置情報を送信する。デフォルトでは30分おきとなっているが、15分おき、もしくは60分おきに設定することも可能だ。
通知がEメールではなくメッセージRを利用するのは、第三者からのなりすましを防ぐためだという。
FOMA SA800i。キリンビールの「極生」などのデザインで知られる佐藤可士和氏がデザインを手がけた |
さらに端末の電池は専用ネジで固定でき、付属の工具でしか取り外せないようになっている。このため、第三者が故意に電池を取り外して電源を切ることができない。
NTTドコモ執行役員プロダクト&サービス本部マルチメディアサービス部長の夏野剛氏は「我々の調査では、小学校1年生でも10%が携帯電話を持っており、高学年では保有率が50〜60%という結果が出ている」と話し、保護者が子どもに携帯電話を持たせるニーズが高まっていると紹介。「子どもを社会の資産としてどう守るかという観点が今後の携帯電話には重要になる」と話した。
SA800iは子どもが使いやすいようにメニューをひらがなにしており、最大5件の連絡先をワンタッチで呼び出せる「直デン」ボタンも搭載している。端末の価格は未定だが、「ほかのFOMA端末と変わらない程度」(説明員)という。主な仕様は以下の通りだ。
相手の居場所が分かるイマドコサーチ
SA800iの発売に合わせ、ドコモでは相手の居場所を確認できるイマドコサーチサービスを始める。相手の端末がGPS対応の場合はGPSを使って位置情報を探すが、GPS非対応の場合は基地局との通信状況を元に居場所を割り出す。ただしGPSを利用しないと精度は荒くなる。
イマドコサーチを利用するには、事前に相手先を登録する必要がある。この際、相手側にも登録の許可を求めるメールが送られるため、自分の許可しない人から居場所を探されるといった心配はない。居場所確認はiモード端末のほか、PCからでも可能だ。なお、相手先の端末はFOMAのみ対応している。これは、位置情報の把握方法がmovaとFOMAでは異なるためだという。
利用料金は月額210円で、これとは別に位置情報利用料が1回5.25円かかる。
さらに、法人向けにも位置情報検索サービスを提供する。FOMAネットワークと法人の社内システムを接続し、社内システム上でGPS対応FOMA端末の位置情報を検索したり、現在地通知を受信したりできる。利用料金は月額6300円からで、別途ネットワーク接続料がかかる。インターネット接続の場合は月額1050円、専用線接続の場合は同8400円となる。ドコモでは運送会社の車両運行管理などでの利用を見込んでいる。
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