サンフランシスコ発--テレビは、画面が平らだからといってコンテンツまで平らだとは限らない。
IBMのディスプレイ研究所は、当地でiSuppliの主催によって開催中の第22回Flat Information Displaysカンファレンスにおいて、既に発売されている大画面テレビや家庭用シネマプロジェクタを使って、高解像度の3D映像を低コストで取り出す手法をデモした。
IBMの予想では、この技術は標準的なDLP(Digital Light Processing)テレビに20ドル未満で実装できるという。
同社が使用したのは、50インチフラット画面のTexas Instruments(TI)製DLPリアプロジェクションデジタルテレビ。IBMは、独自のハードウェアとソフトウェアをこのテレビに搭載し、3Dコンテンツを取り出して2つの映像に分解し、立体映像に変換した。鑑賞には、超巨大スクリーンで映像を観るIMAXシアターにあるような「パッシブ」グラスが必要になる。
ニューヨーク州ポキプシーにあるIBMの事業所で技術ライセンスプログラムマネージャを務めるJim Santoroは、「2年ほど前から計画が進んでいて、現在は概念の実証段階にある。今回の出展は、技術の製品化に向けた製造パートナー探しが目的だ」と語っている。
Santoroは、まだ正式名のないこのIBM技術の仕様をすべては明かさなかった。だが、PC用ビデオゲームで幅広く利用されているOpenGLやDirect3D対応の全アプリケーションと同ソフトウェアには互換性があるという。
Santoroによると、コンバータは1000ドルをわずかに上回る程度で既存のプロジェクタに後付けできるという。この金額は、1895ドルからの価格で販売されているZScreenモニタなどの競合製品を大幅に下回っている。IBMのハードウェアは、3ピンのVESAステレオインタフェースと互換性がある。
従来の3Dコンテンツを映画館やテレビのスクリーンで鑑賞するには、2台のプロジェクタが必要だった。だが、IBMがデモをしたような次世代デジタルプロジェクタは、3Dコンテンツを1台のマシンだけで変換し、左右の目で交互に見るよう素早く映像を切り替える。たとえば、映画「Chicken Little」に利用された技術では、毎秒144フレームを表示している。
Santoroは一例として、高校のバスケットボールの試合を3Dで撮影したアマチュア映像を見せた。
「現在はテスト段階に過ぎないが、多くのスポーツ専門放送局が試合の3D中継に関心を示している。フットボール中継が3Dになったらどうだろう。私のようなフットボールの大ファンにとっては素晴らしいことになる」(Santoro)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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