CyberLearningは2005年4月、Smart BrainGamesシステムの販売を開始した。価格は、同社のウェブサイトでの直販価格が550ドルだ。同社によると、すでに1200〜1300世帯が同システムを使用したという。同社は2004年に、多くの小児科医および精神分析医と提携して、ADDと診断された子供たちに同ソフトを使用した。
ビデオゲームは子供たちにとって有害というのが一般的な認識だが、CyberLearningのシステムは、この認識とは好対照である。大々的に宣伝されている多くのビデオゲームの暴力的描写によって、子どもたちの攻撃的な行動が助長されているという意見が日々聞かれる。事実、米国の多くの州で、暴力的な内容のゲームの販売を禁じる法律が制定されたり、あるいは、そのような法の制定が検討されたりしている。
しかし、CyberlearningのBrainGamesシステムは、レーシングゲームやキャラクターが飛び跳ねるビデオゲームと連動して機能する設計になっている。プレイヤーである子供たちは、集中力を高めることによって、ゲームに出てくる物体の速度やキャラクターが飛び跳ねる高さに影響を与えることができる。同システムは、人気シューティングゲーム「Resident Evil」のような、暴力的と非難されている種類のゲームとは無関係だ。
この技術の開発が始まったそもそもの発端は、ビデオゲームとは何の関係もない。NASAは1990年代末に、パイロットの集中力と忍耐力を測定する研究を行った。研究者らは、飛行機のコクピットが自動化されていればされているほど、パイロットの操縦に対する集中力が低下し、その結果、緊急時に迅速な対応が取れないことを発見した。そこで科学者らは、パイロットの集中力を維持するため、技術と人間の各種機能との理想的な調和を作り出す「閉ループ」設計を開発した。
Herliheyにとって、NASAの技術のメカニズムは未だ不明な点が多いが、彼女の息子は、同システムの使用を開始してからおよそ1年後には、使用前に比べ落ち着き、集中力も高まり、じっくり本も読めるようになったという。
「息子の記憶力が向上し、1つの作業に集中する能力も改善した。以前は、注意力が散漫だったため45分かかっていた作業が、今では15分でこなせるようになった」とHerliheyは語る。またHerliheyによると、じっとしていられない傾向がある彼女の息子の兄弟もビデオゲームで遊ぶようになってから症状に改善が見られたという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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