「古き良き時代はもう来ない」--ソニー、新ウォークマン発表

坂本純子(編集部)2005年09月08日 19時41分

 ソニーマーケティング9月8日、HDDタイプとフラッシュメモリタイプのポータブルオーディオプレイヤー「ウォークマンAシリーズ」5機種を発表した。

 「ウォークマンAシリーズ」のラインアップのうち、HDDタイプは大型の有機ELディスプレイを全面に使用。本体とディスプレイが一体化した曲線的な形状が特徴だ。HDD容量が20Gバイトの「NW-A3000」(市場想定価格は3万5000円前後)と6Gバイトの「NW-A1000」(同3万円前後)の2モデルがある。発売日は11月19日。

 フラッシュメモリタイプのデザインは、現在人気を博しているNW-E400/E500とほぼ変わらない。発売日は11月19日。2Gバイトのフラッシュメモリを搭載した「NW-A608」(3万2000円前後)のほか、1Gバイトの「NW-A607」(同2万7000円前後)、512Mバイトの「NW-A605」(同2万2000円前後)の3種類がある。

20Gバイトの「NW-A3000」(左)と6Gバイトの「NW-A1000」(右)

 HDDタイプ、フラッシュメモリタイプともに、さまざまなパターンで曲をシャッフルできる「インテリジェントシャッフル」機能が加わった。よく再生する曲を自動的にピックアップしてシャッフルする「よく聞くシャッフル」、ウォークマンがランダムに選んだ年代の音楽が再生できる「タイムマシンシャッフル」のほか、フラッシュメモリタイプにはスポーツしながら利用することを想定した、1〜99分の設定した時間の長さでシャッフル再生できる「スポーツシャッフル」がある。また、HDDタイプには、再生している曲のアーティストに近いジャンルのアーティストを検索する「アーティストリンク」機能が付いた。

 今回の新製品に合わせ、ウォークマンAシリーズ専用の楽曲管理ソフトウェア「CONNECT Player」も発表した。従来の「Sonic Stage」に相当するものだ。レーベルゲートの音楽配信サービス「Mora」との連携が大幅に強化され、ウォークマンと連動したプレイリストが作成できるほか、インテリジェントシャッフル、アーティストリンクでの再生もできる。現在対応している楽曲フォーマットはMP3とソニーが推進するATRAC3/3plusのみだが、12月をめどにWMAにも対応することを明らかにした。ファームアップデートで対応するとしている。「CONNECT」をキーワードに、今後は自社の技術だけでなく、オープンな技術にも対応していくという。

 日本でほぼ同時間に発表されたアップルコンピュータのポータブルオーディオプレイヤー「iPod nano」の発表を受けて(関連記事)、発表会場ではiPodに対する戦略への質問も多く飛んだ。これに対し、ソニー コネクトカンパニー コ・プレジデントの辻野晃一郎氏は「アップルは、従来ソニーが得意としていた新しいライフスタイルの追求に成功している。ソニーは出遅れた。ソニーは同じ土俵ではなく、ソニーの総合力を生かす」とコメントした。

 ポータブルオーディオプレイヤーのブランド名は、これまで「HDDウォークマン」「ネットワークウォークマン」などさまざまな言い方がされてきたが、今回より「ウォークマン」と名称に統一した。名称を決めるにあたって、社内では、ウォークマンというネーミングは古いのではないかという議論もあったという。しかし、ライフスタイルなどに大きな影響力を与えてきた「ウォークマン」のブランド名を原点として、甦らせることを決意。「古き良き時代はもう来ない」(辻野氏)と覚悟を決め、「商品をゼロから見直し、こだわった自信作」と力強くアピールした。

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