カリフォルニア州サンノゼ--あなたが最新式のTech-A-Sketch(2つのダイヤルを使って絵を描く道具)方式を使ったスマートフォンにデータを入力するようになるのに、それほど長い時間はかからないかもしれない。IBMは、点同士を結ぶことでユーザーが文字を書けるキーボードの試験システムを発表した。
Shark(Shorthand-Aided Rapid Keyboarding)は、ペンを使った先進の速記手法だ。Sharkを使えば、ユーザーは仮想キーボード上で入力したい文字から文字をなぞることで、携帯デバイスに単語を入力できるようになる。たとえば「Word」という単語をつづるのに、スタイラスペンを使って4つの仮想キーを別々に叩くのではなく、まず最初に「w」という文字にペンを置いたら、最後の「d」まで順番に文字をなぞり続けるのだ。
「われわれがやろうとしているのは、“Human Machine Code”を作り出すことだ」と、IBMのAlmaden Research Centerの研究員であるShumin Zhaiは、米国時間11日にシリコンバレーで開催された「New Paradigms for Using Computers Conference」でのプレゼンテーションで語った。「この方式では、単語を表すのに幾何学パターンを用いている。岩にシンボルを刻んでいた原始時代に回帰するのだ」と同氏は付け加えた。
ユーザーは単語の記述にあたって、まず単語を構成する文字の追跡からスタートするが、そこから共通の単語や単語を構成する要素のカタチを急速に覚えだすようになる。それにより、入力時の視覚への依存が減ることになる。コンピュータはユーザーが描いた最終的なパターンを評価し、データベースを参照しながらそれを1つの単語として解釈した上で、画面上にテキストとして投影する。
Sharkのベータ版は2004年10月に登場した後、単なる実験プロジェクトにとどまっていたが、この技術は将来性を見せ始めているとZhaiは言う。同氏はまた、ユーザーが4回の訓練講習会の後に、約60のパターンを暗記できたと補足している。「これは、人々がよく使う単語(ならびに単語の要素)の約40%にあたる」(Zhai)
スマートフォンの人気が高まるなかで、研究者や企業らは、これらのデバイスで最適に動作する入力システムの開発を迫られている。
「ノートPCは本当の携帯機器ではない」と、ワシントン州シアトルにあるIntel Labsの研究者Ian Smithは述べている。「実際は単に移動できるだけの機器だ」(Smith)
PCユーザーは標準的なQWERTYキーボードに適応しているが、しかしこうしたキーボードは一般に携帯デバイスとともに持ち運ぶには大きすぎる。一部の企業は、レーザー光線でQWERTYキーボードの像を投影するプロジェクション型キーボードを発表している。こうした製品は軽い反面、(投影先の)表面が平らであることが要求されるが、ガタガタ揺れる地下鉄の車内などでそうした平面を探すのは必ずしも容易ではないと、Zhaiは指摘している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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