KDDIは7月11日、非接触ICチップ「FeliCa」を搭載したauの携帯電話端末に2機種を9月に発売すると発表した。これに併せて、FeliCaを使ったサービス「EZ FeliCa」を9月より開始する。
EZ FeliCaはフェリカネットワークスが提供する携帯電話向けFeliCaチップ「モバイルFeliCa」を利用する。専用のBREWアプリを使うことで、携帯電話を会員証として利用したり、電子マネーで買い物をしたりすることができる。アプリがBREWで作られていることを除けば、基本機能はNTTドコモが提供するiモードFeliCaと変わらない。
「モバイルFeliCaは今後社会インフラになっていくと考えており、携帯電話に搭載するのは必須だ」(KDDI代表取締役社長の小野寺正氏)
通信機能の部分はドコモもKDDIもフェリカネットワークスの仕様に基づいている。ただしEZ FeliCaのアプリがBREWで作られているのに対し、ドコモのiモードFeliCaのアプリはJavaで作られているため、ドコモ向けのFeliCaサービスがauでも利用できるというわけではない。「KDDIが認証する公式アプリのみ利用できるようになる」(KDDI広報)
KDDIとJR東日本は今後、共同でサービスを開発していく
|
このため同社は、BREWアプリの部分でドコモとの差別化を図っていく。その1つがJR東日本が2006年1月から開始する、FeliCaを使った携帯電話向けサービス「モバイルSuica」との連携だ。KDDIは2005年秋からJR東日本と共同でフィールド実験を行い、2006年1月からモバイルSuicaに対応する。同様の取り組みはすでにドコモが手がけているが(関連記事)、KDDIは独自のアプリを提供することでユーザー獲得を目指す。
たとえばau端末のGPS機能を使い、駅の中や街中でSuicaの電子マネーが使える店舗を地図上で表示する情報サービスなど提供する。ほかにも、モバイルSuicaの決済はクレジットカードのみに対応することから、クレジットカードを持たない子どもに親が電子マネーの一定額を分配するサービスなどを検討している。
EZ FeliCa対応端末「W32H」(左)と「W32S」(右) |
9月に発売される予定の端末はいずれもCDMA 1X WIN対応だ。ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製の「W32S」と日立製作所製の「W32H」の2機種がある(端末の詳しい写真はこちら)。詳細なスペックは明らかにしていないが、紛失した際には事前に登録した電話から操作することでFeliCa機能を使えなくする遠隔オートロック機能などを備える予定だ。「2006年度にはCDMA2000 1xでもEZ FeliCa対応端末を出していく」(小野寺氏)
EZ FeliCaのプロモーションでは、NTTドコモの「おサイフケータイ」という名称とロゴを利用する。おサイフケータイはドコモの登録商標だが、「ドコモとの話し合いの中で、『おサイフケータイ』は一般名詞にしたほうがいいということになった」(小野寺氏)という。両社が協業することで、モバイルFeliCaを使ったサービスの認知度向上と利用促進を図る考えだ。
同社はモバイルFeliCaのライセンスなどを手がけるフェリカネットワークスへの出資も検討中だ。フェリカネットワークスはソニーとドコモが2004年1月に設立した企業で(関連記事)、現在の出資比率はソニーが約57%、ドコモが約38%、JR東日本が約5%となっている。
今回の発表で、ドコモとKDDIの2社がモバイルSuicaに対応することになった。ボーダフォンは2005年10月までに、モバイルFeliCaチップを内蔵した携帯電話端末を発売する計画だ(関連記事)。同社がモバイルSuicaに対応するかについては、「現在話し合いを進めている段階だ。モバイルSuicaのサービスが始まる2006年1月までにボーダフォンが対応するかについては、現時点では話せない」( JR東日本代表取締役社長の大塚陸毅氏)としている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス