Apple ComputerとIntelとの新たな同盟関係が実現すれば、シリコンバレー全体に影響が及ぶだけでなく、ハリウッドの映画業界にも波紋が広がることになりそうだ。
PCメーカーやソフトウェアメーカー各社は、何年も前から大手映画会社と交渉を続けてきている。彼らの狙いは、消費者が家庭用ネットワークを使って映画や他のプレミアムコンテンツを受信/交換/共有できるようにすることだ。最近では映画会社側も、こうした考えに対して以前よりもはるかに前向きになっている。だが、違法コピーやコンテンツのコントロールについての不安が無くなったわけではない。実際に、Akimboのようにビデオをオンディマンド配信する企業の多くは、劇場公開になったばかり作品を提供できず、代わりに釣り番組を流したりケーブルテレビの番組を使い回したりしている。
Appleは米国時間6日に、同社が2006年からIntelチップを採用することを発表すると見られているが、AppleとIntelが手を組めば、エンターテインメント業界の大手企業各社から協力を得ることも可能になる。
Appleには、iPodとiTunes Music Store(iTMS)を使って、合法的なオンライン音楽販売を初めて成功させたという実績がある。また、iTunesの技術やそれに関わる契約条件は、新たなサービスのひな形とはいかないまでも、そうした試みを起こさせる刺激となった。iTunesの登場以降、実際にいくつかの企業がオンライン音楽販売の取り組みを立ち上げている。
一方、Intelは映画業界をIT業界と結びつけるべく、さまざまな取り組みを行っている。たとえばProducers Guild Awardの晩餐会は同社がスポンサーとなっている。また今年のSundance Film Festivalでは、WiMaxを使った映画の配信実験を行った。さらに、俳優のMorgan Freemanが同社幹部の基調講演にゲスト出演したこともある。そのFreemanが立ち上げ、エンジニアのLori McCrearyが経営にあたるRevelations Entertainmentでは、今年ある作品を劇場公開と同時にインターネットでもリリースすることになっている。
また、IntelがDigital Home Working Groupを含む多くの業界団体の主要メンバーになっている点も重要だ。これらのコンソーシアムでは、消費者が複数のデバイス間でビデオを交換できるようにするために、デジタル著作権管理(DRM)システムやその他の技術を開発しようとしている。Intelはまた「EPC」というリビングルーム向けのPCを普及させようとしているが、これは音楽やゲーム、ビデオ用のサーバ兼ストレージ機器として機能するものだ。
映画業界各社との交渉は簡単にはいかないが、それでも前に進んでいる。昨年10月には、Intelのデスクトップ製品グループ責任者だったLouis Burnsが、「映画業界全体が方向転換している」と述べていた。同氏によると、それより2年前には映画業界とIT業界が、互いに相手を攻撃し合う状態にあったという。
先月には、Intel CEOのPaul Otelliniが、家庭内での映画ファイル共有をめぐって両業界の考えが食い違っていた問題のうち、主要な点の多くは解決されたと述べていた。映画業界の幹部らも、ビデオオンディマンドの実験が今年中にも始まる可能性を示唆していた。
AppleとIntelの協力が実現すれば、携帯ビデオプレイヤーがついに実現する可能性も出てくる。Appleは昨年、台湾の委託製造業者と共同で携帯ビデオプレイヤーの開発に取り組んでいた。Intelでもこうした機器をいくつか設計しており、その一部はSonicblueなどの各社が製品化している。ただし、いまのところ、両社がこうした製品の開発に取り組んでいるとする情報筋の話はなく、彼らはAppleがIntelチップをMacに採用すると述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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