プリンタの消耗品販売で利益の大半を得ているHewlett-Packard(HP)が、HPプリンタ用の詰め替えインクカートリッジを販売する企業2社を提訴した。
HPは米国時間25日、InkCycleの製品がHPの所有する3つの特許を侵害しているとして、ウィスコンシン州西部地方裁判所に訴状を提出した。さらに28日には、インクを詰め替えたカートリッジを販売する際に、カートリッジが新品だという誤解を消費者に与えるようなパッケージや広告を使用したとして、RhinoTekをカリフォルニア州北部地方裁判所に提訴している。
GAP IntelligenceのアナリストGary Petersonは、インクカートリッジの詰め替えは、「HPだけでなく、プリンタビジネスを営むあらゆる企業にとって深刻な問題だ」と述べている。「プリンタビジネスにおいて、購入される消耗品の10〜15%はサードパーティ製の詰め替えカートリッジだと言える。HPやその他のプリンタ企業からしてみれば、これによる販売機会喪失額は決して少額ではない」(Peterson)
もっともHPは、合法的に購入したカートリッジのインクを詰め替えたり、詰め替えカートリッジを購入したりする権利を消費者は有していると認めており、今回の提訴によって同社のポリシーが変化することはないと話している。同社の広報担当Monica Sarkarは、「消費者の選択を尊重する」としているが、HPの製品の方が質がよく、信頼性は高いとも付け加えている。
HPは、InkCycleに対し、特許侵害の停止のほか、賠償金および訴訟費用の支払いを求めている。一方、InkCycleのマーケティング部門バイスプレジデントBrad Roderickは29日、この訴訟は近々和解するだろうと述べた。
Roderickは、「当社はHPと直接協議しており、早晩全面的な決着が見られるはずだ」と言う。だが、和解条件や、InkCycleが今後も製品を販売する可能性についてはコメントを拒否し、「InkCycleは、いつも知的所有権に配慮している」とするに留まった。
InkCycleが、他の詰め替え業者も利用するインクを使っている場合、今回のケースはInkCycle以外の企業にも飛び火する可能性がある。Roderickは、InkCycleがどこのインクを使っているのか、明らかにしていない。
Rhinotekに関してHPは、「同社が使用するパッケージや販売促進用素材は、製品が新品だという誤解を消費者に与えるように計算されている」と批判している。HPはRhinotekに対し、HPプリンタ用インクカートリッジのパッケージの目立つ場所に、「再生品」や「詰め替え製品」などという言葉を掲載するよう求めている。また、消費者に誤解を与えるような広告を行っていた期間中の全収入を、HPに還元することも望んでいる。
Rhinotekから本件に関するコメントは得られていない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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