ソニーは3月10日、ワイド7V型のモバイル液晶テレビ「ロケーションフリーテレビ LF-X5」を発売する。海外でも日本のテレビ放送が見られるというこのテレビは、以前「エアボード」というブランド名で呼ばれていた製品だ。今回、LF-X5の発売をきっかけに名称をロケーションフリーテレビに変更した。エアボードという名前を捨てた狙いについて、ホームエレクトロニクスネットワークカンパニー テレビ事業本部LFX事業室 事業室長の前田悟氏に話を聞いた。
エアボードは無線LANを利用して家の中のどこでもテレビ放送を受信したり、インターネットを楽しんだりできるテレビとして、2000年12月に登場した。タッチパネルを搭載した薄型液晶モニターと、インターネット接続やテレビ放送の受信を行うためのベースステーションの2つで構成されている。2004年3月にはこの機能を進化させ、家の中だけでなく海外でもインターネットを介して自宅のテレビが見られる機能を備えた「LF-X1」を発売した。
ベースステーションにつないだHDDレコーダの録画映像を映したロケーションフリーテレビ LF-X5(左)と2004年発売のLF-X1(右)
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LF-X5はLF-X1の持ち運び版とでもいうべきものだ。液晶の大きさはワイド7V型となり、大きさは20.6cm×11.1cm×2.6cm、重さ555gとなっている。
新たに公衆無線LANスポットでの接続に対応しており、駅や空港、カフェなどでもテレビを楽しめる点が特徴だ。インターネットを介してモニターから自宅のベースステーションにアクセスし、ベースステーションが受信する番組をモニターに伝送する。また、AV機器を遠隔操作する「NetAV」を利用すれば、ベースステーションにつないだHDDレコーダを操作して、録画した映像も見ることができる。IEEE802.11a/b/gの3種類に対応する。
名称変更の裏にある2つの狙い
なぜソニーはエアボードの名前を捨て、ロケーションフリーテレビとしたのか。これには2つの狙いがあるようだ。1つはこれまでのエアボードのイメージをぬぐい去ること、もう1つはエア“ボード(Board:板)”とは呼べないような製品にまでラインアップを拡充していくことだ。
まず、これまでのエアボードは、タッチパネルでの操作や無線LANを利用した携帯性など、先進的な機能を備えながらも価格がネックとなり、売れ行きはあまり伸びていない。「エアボードというと、これまであまりヒットしてこなかったというイメージが販売店についてしまっている。これを一新したかった」と前田氏は話す。
また、エアボードはディスプレイが持ち運べる点と、テレビとインターネットが1台の端末で利用できる点が大きな特徴だったが、最近はワイヤレス液晶テレビやテレビチューナ内蔵のPCが増えており、差別化が難しくなっていた。同社ではロケーションフリーテレビという名称にすることで、どこにいても自分の好きな番組が楽しめるという機能をアピールする考えだ。
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