Apple ComputerのiPod Shuffleを分解してみたところ、2つのチップを使って楽曲を再生していることが分かった。
IDCアナリストのIdaRose Sylvesterは先ごろ、512MバイトのiPod Shuffleを購入し、これを分解して内部の様子を調べてみた。同氏はこの結果をまとめたレポートを今月に入って発表したが、それによるとAppleは2つのメインチップを各々独立した回路基板に搭載することでShuffleの小型化を実現しているという。
Sylvesterが分解したShuffleには、SigmaTel製MP3デコーダチップとSamsung製フラッシュメモリチップという2つのチップが搭載されていたが、これはハードディスクベースのiPodに比べてかなり数が少ないと同氏は述べている。
一方の基盤に搭載されたMP3デコーダはチップは、MP3やAAC、Audibleの各フォーマットのファイルを再生するなど、複数の役割を受け持っている。そのほか、USB 2.0コンバータやデータをバッファリングするSDRAM、ヘッドフォンドライバなどの機能も提供している。
このチップには、Windows Mediaファイルのデコードや、ボイスレコーダ機能も付いており、また液晶画面への画像表示や、FMチューナーとの連係も可能だという。ただし、Shuffleではこれらの機能が使われていないと同氏は述べている。
Shuffleに搭載されているSamsung製フラッシュメモリチップは、別の回路基板上に搭載されている。これらの基盤はShuffleの上部に2枚貼り合わせた形で収納されており、その下にバッテリのスペースが確保されている。
Shuffleのリチウムイオンバッテリはデバイスの下半分を占め、2枚の基盤とUSBコネクタとの間に収まっている。Sylvesterの推測では、Shuffleのデザインを考慮すると、たとえバッテリが交換可能でも、エンドユーザーには無理ではないかという。
他の電子機器の場合と同様に、AppleもShuffleの設計にあたり何かを犠牲にする必要があった。Shuffleの2枚基盤構成、MP3チップ、USBコネクタ、USB経由でのバッテリ充電を実現する回路は、かなり複雑な設計が求められた。
しかしながら、AppleはShuffleからかなり大きな儲けを得ているようだ、と同氏は結論づけている。
Sylvesterは、512Mバイトモデルの製造原価が約59ドルになるとしており、そのうち最も高価な部品はフラッシュメモリチップでこれが現在約31ドルだという。
したがって、512Mバイトモデルの利幅は約40%になるとSylvesterは述べている。また同氏の概算では、1Gバイト版モデルの利幅は若干低く約35%になるという。しかし、このレポートには部品以外にかかるマーケティング、パッケージング、人件費などの諸経費の記載はない。また、AppleはiPodの直販もしているが、各種小売店で販売される分については小売価格の100%が入ってくるわけではない。
この先、メモリーチップの価格はさらに低下すると見られ、Appleの利幅はさらに拡大すると思われる。
この件について、Appleのコメントは得られなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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