携帯ゲーム機戦争が激しさを増すなか、ソニーはPlayStation Portable(PSP)を来月北米で発売し、新たな攻勢に出ようとしている。
同社は米国時間3日、北米市場でのPSPの発売日を明らかにした。同製品は、米国とカナダでは3月24日に250ドルで発売される。
さらに、映画「スパイダーマン2」のUniversal Media Disc(UMD)版など、この価格で多数のおまけもバンドルされる。UMDはソニーがPSPに合わせてデビューさせた1.8Gバイトの新ディスクフォーマット。
Sony Computer Entertainment Americaのエグゼクティブ・バイスプレジデントJack Trettonによると、PSPはゲームを主な用途として設計されているが、ソニーはそれだけがこのゲーム機の用途ではないことを最初から明らかにさせたいと考えているという。
「企業の立場から見た場合、これが真の多目的機器であることに疑問の余地はない。あらかじめ映画コンテンツを入れておけば、そのことが最初から消費者に伝わる」(Tretton)
調査会社IDCアナリストのSchelley Olhavaは、ソニーがPSPのパッケージに「スパイダーマン2」を入れてきたのには驚いた、と語っている。
「ソニーはこれで、今後のマーケティングの進め方にかなり慎重にならざるを得なくなる。消費者は、ゲームで遊ぶ目的でこの製品を購入する。ほかのものを同梱し始めると、伝えたいことがうまく伝わらなくなってくる」(Olhava)
Olhavaによると、ソニーが他のレコード会社や映画会社に早急にUMDをサポートさせることができない場合、この戦略は特にリスクが高くなるという。
「彼らが『この製品は単なるビデオゲーム機ではありません』と看板に掲げているのは明らかだが、問題は他のコンテンツをどれだけ素速く用意できるかだ。初年度に『スパイダーマン2』しかないのでは、あまり説得力がない」(Olhava)
ソニーは昨年PSPの計画を明らかにし、アナログ音楽に対してWalkmanが果たした役割をデジタルメディアで果たす画期的なマシンになりえる、としてこれを位置づけた。PSPには、UMDメディアフォーマットのほかにも、ワイヤレスネットワーク機能を内蔵したり、優れた3Dグラフィック機能を持つなど、いくつかの新しい特長がある。
しかし、PSPはソニーにとって難産となった。同社はPSPの開発や生産で複数の問題に悩まされ、結局北米での発売を延期することになり、また12月の日本発売時にも20万台しか出荷できなかった。
ソニーはPSPにより、任天堂のGame Boyが長年独占してきた競争の激しい市場に参入した。任天堂は無線ネットワーク機能やタッチスクリーンなどを搭載する高機能携帯ゲーム機「DS」を新たに発売し、そのリードを広げようとしている。
任天堂がDSを11月下旬に北米で発売すると、この携帯ゲーム機はたちまち年末商戦の目玉になった。これを受け、同社は元々楽観的だった売上予測をすぐさま上方修正し、同社の会計年度末である3月31日までに全世界であわせて500万台を売り上げるとの予測を示した。
ソニーはPSPの日本発売開始以降、生産能力の拡大に取り組んできている。同社は現在3月31日までに全世界で300万台を出荷すると予想しており、このうち100万台が北米市場向けとなる。12月12日に日本で発売されたPSPは、これまでにあわせて80万台が出荷されている。
PSPの北米発売時には、Activision、カプコン、EA、光栄、コナミ、ナムコ、ソニーなどの各メーカーから、あわせて24のゲームソフトがリリースされる予定。ちなみにソニー製ゲームソフトの価格は39ドルからとなる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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