DVDの後継をめぐり、東芝/NEC陣営のHD DVDとソニー/松下陣営のBlu-ray Diskが火花を散らしている。どちらもハイビジョン画質の動画を記録できる大容量のディスクというのが売り文句だ。しかし数年後には、この2種類のディスクでさえ容量が小さいと思う時代が来るかもしれない。
光学ディスクの開発を行うオプトウエアは2月3日、ホログラム技術を利用した新ディスク「HVD(Holographic Versatile Disc)」規格の標準化を行う団体HVDアライアンスを設立すると発表した。標準化を進め、2006年6月に容量200GBの新ディスクを製品化する計画だ。
HVDはオプトウエアが開発したホログラム記録方式、コリニアテクノロジーを利用した光ディスク。現行のDVDがディスクの記録層の表面に点を描く形でデータを記録するのに対し、ホログラム記録方式は厚みのある記録層にデータを立体的に記録することで、容量を飛躍的に高めた点が特徴だ。大きさは現行のCDやDVDと同じ12センチで、同社の実験で3.9TB(DVDの約780倍)まで記録できることを確認しているという。
オプトウエアは、ソニーで光学ディスクの研究開発を行っていた堀米秀嘉氏が大容量ディスクの開発を目指して1999年に設立したベンチャー企業。コリニアテクノロジーも同氏の発明によるものだ。これまでにIntel Capitalや東亞合成、松下電器産業などから出資を受けている。
HVDアライアンスの参加企業はオプトウエアのほか、台湾CMCマグネティックス、東亞合成、日本ペイント、パルステック工業、富士写真フイルムの6社。今後はディスクメーカーや材料メーカー、デバイスメーカーなどに参画を呼びかけていく。
技術委員会には大手家電メーカーも参加
同社はHVDをDVDやHD DVD、Blu-ray Diskの後継と位置付け、標準化活動を行っていく考えだ。具体的には欧州の標準化団体、ECMA(ヨーロッパ電子計算機工業会)においてHVDに関する技術委員会を立ち上げる。委員会にはHVDアライアンスの参加企業のほか、パイオニアや松下電器、ソニー、日立製作所、東芝の技術者も名を連ねている。
この技術委員会では、追記型のHVD-R、読み取り専用のHVD-ROM、カード型のHVC(Holographic Versatile Card)の3種類に関する規格策定を行う。現在の案では、HVD-ROMの容量は200GB、HVCは30GBで、2006年6月に規格が決まる予定。HVD-ROMは容量100GBで、規格策定は2006年12月となる。
書き換え可能なHVD-RWについては、「技術的には可能だが、大容量ディスクの書き換え需要がどれだけあるかは疑問だ」(オプトウエア代表取締役社長兼CEOの青木芳夫氏)として、当面は見送るとしている。
オプトウエアでは、HVDをまず企業のデータアーカイブ向けに提供していく計画だ。特に米国ではエンロン事件などを受けて、企業活動に関するデータを保存する義務が課せられており、大容量ストレージに対するニーズが強いという。
民生用HVDについては、「2007年後半から2008年ごろをめどに開発していく。市場に普及するのは2010年頃になるのではないか」と青木氏は話す。用途としては、「レンタルビデオ店で複数の映画タイトルを1本のHVDにパッケージして貸し出し、コンテンツの再生鍵に課金するといった方法が考えられる」(同氏)とした。
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