ラスベガス発--Apple Computerの携帯音楽プレイヤーiPodは、ポップカルチャーの象徴とも言える存在となったが、付属するイヤホンの評判はあまり芳しくないようで、そのつけ心地や音質について不満を漏らすユーザーも多い。
音響機器メーカーのShureにとって、こうした不満の声は大きなビジネスチャンスとなっている。これまではプロのミュージシャンにしか名前が知られていなかった同社のインナーイヤー型ヘッドホンは、いまやiPod用アクセサリとして最高のステータスシンボルとなっている。同社は、99ドルのものから500ドルという息を飲むほど高価なものまで、いくつかの製品を取り揃えているが、これらはAppleからもお墨付きを得ており、Apple Storeでも販売されている。
こうしたビジネスは、もともとステージミュージシャン向けのヘッドホンをつくっていたShureにとってタナボタともいえるものだと、同社のChristopher Lyon(ポートフォリオ・プランニング・マネージャー)はConsumer Electronics Show(CES)で語った。同社のヘッドホンは、コンサートスピーカーから出る音を、より正確でしかも耳を痛めずに聞く方法を捜していたミュージシャンのニーズに応えるものだった。
「われわれは数年前、イヤホンが壊れたり、古くなったりしたからという理由でイヤホンを買いかえる人より、単純にもう1つ買い足す人の方が多いことに気が付いた。またミュージシャンたちはポータブルCDプレイヤー用などに、イヤホンをいくつも買い足していることが判明した」とLyon。「このことがヒントになって、われわれはコンシューマ市場にも力を入れていこうと決心した。とはいえ、(われわれの製品が)これほど話題になるとは夢にも思わなかった」(Lyon)
Shureの「E」シリーズは、耳の穴の中に差し込んで使用する点が特徴だ。外耳道が「密閉」されるため、外部の音はほとんど遮断されることになり、ユーザーは生き生きとしたクリアな音質を楽しむことができる。耳の中にイヤホンを挿入することにも、外界の音が聞こえないことにも初めは違和感を覚えるかもしれないが、こうした使用感にもすぐ慣れるとLyonはいう。
「最初は、違和感を覚えるかもしれない。しかし2〜3回使えば、外部の音をシャットアウトしてくれるこのイヤホンが手放せなくなるだろう」(Lyon)
株式非公開企業のShureは業績を発表していないが、Lyonによると、同社のイヤホンビジネスは、iPodの売上が伸びるのと同じペースで成長しているという。主力製品がステージ用マイクである同社にとって、これは目を見張るほどの成長スピードといえる。ステージ用マイク市場では通常、製品に関する良い評判をミュージシャンたちの間で築き上げるのに、何十年もかかる。
「こんなに速いペースで成長を遂げることに、われわれは慣れていない。プロのミュージシャンを相手にした市場では、このように突然何かが起きることなど、あり得ない」(Lyon)
Shureは先ごろ、携帯電話用ヘッドセット市場に参入している。同市場では、外界の音を遮断するという同社のイヤホンの特性が、非常に大きな強みとなる。「年中、携帯電話を使う人がShureの製品を使えば、特に騒音の多い環境において生産性を上げられるようになるだろう」(Lyon)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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