Intelが、同社のIA-32アーキテクチャをベースにした、家電向けチップ製品の準備を進めている。同社のLouis Burns(デスクトップ・プラットフォームグループ、バイスプレジデント)が明らかにした。 IA-32アーキテクチャは、Intelが販売する大多数のチップで使われており、これをベースにしたデスクトップ向けやノートPC向け、サーバ用の各プロセッサが出されている。
この新しいチップが登場すれば、家電メーカー各社はこれを組み込んだセットトップボックスやデジタルビデオレコーダ(DVR)を作れることになる。Intelは、この2つの製品向けにチップの販売数を増やしたい考えだと、Burnsは語った。
Burnsは、先ごろ日本で開催されたCEATECカンファレンスで、「家電向けに特別に開発した、IAアーキテクチャの派生チップを準備している」と述べていた。
Intelは現在さまざまな家電製品向けのリファレンスデザインを開発しているが、これは同社チップに対する家電メーカー各社の関心を高めるための動きだ。また、同社はデスクトップ製品部門の下に、Consumer Electronics Groupという部署を新設し、Glenda Dorchakをその責任者に据えている。
新しい家電向けチップは、デスクトップやノートPC用チップよりも動作速度やバスの転送速度が遅く、プロセッサ内部のメモリキャッシュの容量も小さくなりそうだ。これは、消費電力とコストを抑えるための措置だが、これ以外についてはほぼ同じ内容になる。Intelでは、過去にも同様の手法を用いて新市場に参入したことがある。
「デスクトップやサーバメーカーでさえも消費電力やパフォーマンスの問題で悪戦苦闘している」とInsight 64のアナリスト、Nathan Brookwoodは述べ、さらに「今後は、これらの汎用パーツを特定市場向けにカスタマイズするケースが増えるだろう」と付け加えている。
Intelの広報担当者は、同社が既存のデスクトップ用チップを家電製品に移植することにすでに成功している、との声明を発表したが、まもなく登場する派生チップ製品に関するコメントは控えている。
IA-32チップでこの市場に乗り込もうというIntelの試みは、同社の便宜主義的な方針転換を表している。IA-32チップは、ほかの多くのプロセッサに比べ、多くの電力を消費するが、家電製品ではこれが大きな問題となる。家電メーカー各社は、冷却ファンやヒートシンクの数を減らすことでノイズとコストの削減に務めている。
同社は既に、「Xscale」と呼ばれる低消費電力チップを携帯電話市場に投入している。Xscaleチップは、ARM Holdings主導で開発されたアーキテクチャをベースにしたものだ。ARMチップはさまざまなメーカーから出されており、家電製品市場の幅広い分野で販売されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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