「より小さく、より軽く、より高機能に、そして長時間駆動する」--携帯電話やノートPCなどの携帯端末に求められるこれらの性能を満たすには、バッテリーがボトルネックになってきている。このため、幕張メッセで開催中のCEATEC JAPAN 2004では、小型端末の新たな電源となりうる小型燃料電池が展示されている。
燃料電池は、燃料となるメタノールを補充すればいつでも充電ができるため、長時間の駆動が可能になる点が注目されている。KDDIは東芝や日立製作所と共同で、携帯電話向けの燃料電池を試作した。いずれも燃料ポンプや空気ファンなどを使わないパッシブ型の機構を採用した。日立製作所は濃度の薄いメタノールの入ったカートリッジを端末に差し込んで利用するカートリッジ型を、東芝は100%濃度のエタノールを端末に注入する直接注入型を開発している。
「デジタル放送のチューナー内蔵端末を前提に開発を進めている」(KDDIの説明員)。現在のリチウム電池では2時間程度しか駆動できないが、日立が試作したカートリッジ型の充電器を利用した場合、カートリッジ1本で5〜10時間の連続駆動が可能になるという。
今回展示されたのは、いずれも端末に内蔵されたリチウム電池を充電する充電器タイプ。充電口を統一することで、充電器メーカーと端末メーカーが異なる場合でも利用できるようにする考えだ。2005年には燃料電池内蔵型の端末も試作する予定という。
商用化の時期は未定だが、航空機内に燃料電池の持ち込みが解禁されると見られる2007年頃を目標に実用化を進める方針だ。
日立製作所のブースでは、携帯電話だけでなくポータブルビューアやノートPC向けの燃料電池も展示されていた。日立によると、メタノールの濃度は20%で、いずれも5時間程度駆動できるように開発を進めているという。2005年中に実用化し、2006年の製品化を目指すとしている。
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