ロンドンのインペリアル・カレッジの研究者らは、DVD100枚分相当のデータを、DVDと同サイズのディスク1枚に格納できる新しい技術を公開した。
「Multiplexed Optical Data Storage(MODS)」と呼ばれるこの記憶媒体は、台湾で開催中のAsia-Pacific Data Storage Conference 2004で講演したPeter Torokによって米国時間27日に公開された。
開発チームの話によると、MODSは標準的なサイズのディスク1枚に、最大で1テラバイト(1000Gバイト)のデータを収めることが可能で、映画なら472時間分、あるいは「Simpsons」の全エピソードを保存できるという。またこの技術は、企業でのデータのバックアップや配布にも応用できる。
MODSは、DVDやCD、新しいBlu-ray Discなどと同じく、レーザー技術を利用するが、ただしディスクに刻まれた信号にはるかに多くの情報を収めることが可能だ。既存のディスク類では、1もしくは0を表すピットが(ディスクの表面に)並んでおり、これにレーザーをあてて反射した光を読みとっていく。これに対し、MODSでは、1つのピットに300種類以上の(反射光の)バリエーションを持たせることができるため、エラー訂正とエンコーディングを行った後でも、Blu-ray Discの10倍のデータ密度を実現できる。
現在消費者向けに出されている光学系記憶媒体では、もっとも記憶容量の大きいBlu-ray Discだが、現時点では日本で製品が販売されているのみで、ヨーロッパでの発売は2005年になる見通しだ。Blu-Rayは1レイヤ(層)あたり25Gバイトの記憶容量を持ち、いまのところ2層式のものまで登場している。これに対し、MODSの記憶容量は1レイヤあたり250Gバイトで、最大4レイヤのものが実現可能だという。
ロンドン大学インペリアル・カレッジの研究者であるTorokは「われわれは、このディスクを数年前に思いついたが、動作を証明する手段がなかった」と声明の中で述べている。
Torokは、このことを証明するには反射光の特性を正確に計算する手法の開発が必要だったとし、「われわれは、ディスク表面からの光の散乱を概算するのではなく、厳密に扱える計算と解析のテクニックを組み合わせている」と説明した。
MODSを使った製品の登場は、開発資金の調達状況に応じて5〜10年以上先になる見込みだが、研究者らは、現行のDVDより物理的にはるかに小さいディスクにこの技術を応用したい考えだ。
「高密度のMODSは、メーカー各社がディスクの小型化を考慮する場合に役に立つ。2002年には、Philipsが最大1Gバイトのデータを格納可能な直径3センチの光ディスクを開発すると発表している。モバイルデバイス市場では、将来多くの情報を格納できる小径ディスクが求められる可能性が高い。MODSディスクはこのニッチを満たすものだ」(Torok)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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