ソニーは米国時間22日、同社の携帯音楽プレイヤーに、MP3をネイティブでサポートする機能を追加する作業を進めていることを正式に認めた。この重大な戦略の転換により、同社はApple Computerなどの競合各社に対して、一段と効果的に戦えるようになる可能性がある。
同社によると、MP3のサポート機能追加は、まずフラッシュメモリベースの音楽プレイヤーから始まることになるが、ただしその方法と時期に関してはまだ計画が最終的に固まったわけではないという。CNET News.com系列のZDNet Franceが、最初にソニーのヨーロッパ市場における戦略転換を報じた。また同社の米国側関係者も、ソニーが同様の計画を進めていると語った。
「われわれは、米国市場にMP3ファイルをサポートするフラッシュメモリーベースのプレイヤーを投入する計画を検討しているが、ただし現時点では発表できることはない」と、Sony ElectronicsのGretchen Griswoldは述べている。
デジタル音楽市場での競争が激化し、ソニーが他社に後れを取るおそれも見え始めるなかで、同社は現在MP3戦略の修正を進めている。今回の意表をつく動きは、同社にとって重大な戦略転換の前兆となる可能性があり、同時に生まれたばかりのオンライン音楽市場にとっても重要な分岐点となり得るものだ。
MP3は、他に比べて格段に普及しているデジタル音楽ファイルの形式だが、現在ソニーのハードウェアは同社独自のAtracフォーマットでエンコードされたファイルしか再生できない。同社の音楽プレイヤーでは、MP3や他のフォーマットで保存された音楽ファイルを再生するのに、いったんAtracファイルに変換するというやり方をしているが、この変換処理には時間がかかり、特に比較的ストレージ容量の少ないフラッシュメモリベースのプレイヤーなどでは、その点が顕著になるとの問題がある。
このことから、同社はAppleなどのライバル各社に対して不利な立場に置かれている。市場をリードするAppleのiPodは、同社独自のFairPlayデジタル著作権管理ソフトウェアとともにMP3もサポートしている。
アナリストらは、ソニーの方針変更を理にかなったものだと評価し、MP3が業界でデファクトスタンダードの地位を確立している点を指摘した。
「行動に出るのが遅かったくらいだ。アイワ製品の投入以来、彼らの戦略は首尾一貫していなかった。一部のCDプレイヤーではMP3をサポートしているのにだ」と調査会社IDCのアナリストSusan Kevorkianは述べ、「これでデジタル音楽プレイヤー市場におけるソニーの競争力も高まるはずだ」と付け加えた。
なお、ソニーは携帯端末のCLIEでもMP3ファイルをサポートしている。
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