「MP3プレイヤーなど、デジタルオーディオ製品の認知度はまだそれほど高くなく、さらにアイリバーブランドの知名度も高いとはいえない。しかし、アップルの強力な広告展開もあって、デジタルオーディオへの関心度が高まっている。これをチャンスととらえ、アイリバーブランドを浸透させてシェア拡大をめざしたい」。アイリバー・ジャパン 代表取締役社長の遠藤信久氏は9月2日、同社の戦略説明会にてこのように語った。
昨年7月にアイリバー・ジャパンが設立されて1年が過ぎた。BCNの調査を基にした同社の独自資料によると、日本国内におけるフラッシュメモリプレイヤーの市場シェアは7月末時点で23%と、Rio Japanを抜いて国内トップ。ハードディスクプレイヤーにおいては3位で、デジタルオーディオ市場全体においても7月末で12%と国内市場シェア3位なのだという。
アイリバー・ジャパン 代表取締役社長 遠藤信久氏 |
遠藤氏は、ハードディスクプレイヤー市場でアップルのシェアが圧倒的であることを認めながらも、アップルはフラッシュメモリプレイヤーの製品群を持っていないことを指摘する。「フラッシュメモリプレイヤーは、小さくて軽く、電池が長持ちする。さらに、価格も安価なので、何十Gバイトという大容量を必要としないライトユーザー層にも人気がある」と遠藤氏は、フラッシュメモリプレイヤーの優位性をアピールする。フラッシュメモリプレイヤーに関して言えば、「アイリバーの出荷台数は世界でトップ」と遠藤氏は述べ、スケールメリットによるコストダウンも可能だと説明する。
こうした状況の中、アイリバー・ジャパンの戦略として遠藤氏は、「フラッシュメモリの大量調達力を生かし、戦略的な価格設定を行うとともに、新製品投入も行う。これによりフラッシュ市場で圧倒的シェアを獲得し、ブランド認知を得る」と述べる。同社では9月3日より、1Gプレイヤーの価格をこれまでの5万4800円から2万9800円と45%値下げする。また、これまで2万4800円の価格帯で256Mプレイヤーを提供していたが、同価格帯にて512Mのプレイヤーを購入できるようにする。
また遠藤氏は、1Gバイトのフラッシュメモリプレイヤーと4Gバイトのハードディスクプレイヤーが競合製品になり得ると見ており、1Gバイトの容量で十分だというライトユーザーにフラッシュメモリをアピールしていきたいと述べる。「フラッシュ製品はハードディスクと違って駆動部分がないため、衝撃に強い。また、フラッシュ製品は軽くて小さいうえ、ラジオやボイスレコーダーなどの機能やアクセサリーも豊富だ」(遠藤氏)。同氏は、フラッシュ製品でシェアを高め、市場におけるブランド認知を得ることで、今後ハードディスク市場でのシェア獲得にもつなげたいとしている。
アイリバーは今年2月、都内千代田区にアイリバー・プラザを開設、新製品の展示や修理受付、アクセサリー販売などを行っているが、10月1日には新宿センタービル内にショールームとインターネットカフェを兼ねたアイリバー・プラザの2店舗目を開設する予定だという。さらに、年内には大阪に3店舗目を開設予定だという。
同社は主にフラッシュメモリプレイヤーを推進してデジタルオーディオ市場におけるフラッシュのシェアを拡大させるとともに、同社のフラッシュメモリプレイヤーのシェアも「第4四半期には50%にまで持っていきたい」(遠藤氏)としている。ハードディスクプレイヤーにおいては引き続き現在のシェアを維持し、「2005年度にはデジタルオーディオ市場全体で60万台の販売をめざし、30〜35%のシェアを獲得したい」としている。
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