関西のMacファンの間で待望の的となっている「Apple Store Osaka」が、早ければ9月末から10月初旬にも御堂筋に誕生する見通しが強まってきた。アップルコンピュータでは、7月にデジタルオーディオプレーヤー「iPod mini」の発売を予定しており、社内でも「このタイミングに合わせてできるだけ早く大阪を開店したい」(関係者)との声がしきり。昨年11月に東京・銀座にオープンした「Apple Store Ginza」が好調なことも、大阪の早期出店に拍車をかける背景となっているようだ。
場所は厳重な箝口令が敷かれているために、確定はできないが、大阪の御堂筋と周防町の交差点にある千代田生命御堂筋ビル(写真)が有力視されている。現在、大成建設がビル全体の改築工事を進めているが、「1階と2階だけは別の建設会社が請け負っていて、工事の内容もまったく知らされていない」(同社)という。ただし、周辺の商店街などでは、すでにアップルの直営店ができるという情報が流れており、「梅田に傾きがちな人の流れを御堂筋に戻すきっかけになれば」と、期待の声もあがりはじめている。
「Apple Store Osaka」は、1階、2階の2フロア構成。銀座の5フロアにはおよばないが、1フロア当たりの面積は銀座の180平方メートルを上回る広さ。「単なる東京店の小型版にはしない。関西の拠点にふさわしいセンスあふれる直営店になる」と関係者にも力がこもる。
現在の銀座店は、「ほぼ毎週1億円以上の売り上げがコンスタントにあがり、月商は4億円ベースを維持している」という好調さ。週末のキッズコーナーが子供連れで賑わう一方、5Fのスタジオでは年配の夫婦が連れ合ってデジカメの初心者講座を受講するなど、幅広い年齢、顧客層に受け入れられている。
それにしても、すぐ近くの有楽町などにビックカメラやソフマップなどの有力店が軒を連ねるなかで、この売り上げは予想外の健闘。同社によれば、意外に高額商品が売れているという。銀座に来て、女性でも大型ディスプレイや高性能パソコンをポンと買っていく。銀座という立地も手伝い、わざわざ銀座に足を伸ばした地方客や、経済的余裕のあるシニア世代をうまく取り込んでいるようだ。
それだけに「東京がこれだけ好調なのだから、なんとか早く大阪を開店させたい」と、当初予定されていた秋の開店を少しでも前倒ししたい計画。「できれば9月、もしくは多少暑さが残っている時期にオープンにこぎつけたい」という。
直営店である「Apple Store」の展開は、アップルの世界戦略の一環。2004年第1四半期(1−3月)の同社の全売上高は19億900万ドルで、このうち直営店とWeb販売を含めたRetail部門は2億6600万ドルと、構成比では14%近くに達した。ちなみに前年同期のRetail部門は1億3500万ドルで、この1年で2倍近い急成長をとげたわけだ。
直営店展開は、日本に限らない。米国ではすでに80店を数えるほか、大阪店の開店前には、イギリスで海外2号店となる「ロンドン店」がオープンする。今後、米国以外でも売れ行き好調な地域で、直営店の展開を加速させていく姿勢だ。国内でも、「直営店にどんどん資金を投入していく」と意欲的なだけに、大阪に次いで第3、第4の「Apple Store」が誕生するのも時間の問題かもしれない。
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