Hewlett-Packard(HP)が、「ウォビュレーション(wobulation)」と呼ばれる技術を開発した。同社では、この新技術によって、2005年からの発売が予定されるHPデジタルプロジェクタ製品の画質が劇的に改善されるとしている。
HPは米国時間9日にこの技術を発表した。第1世代の「2X」ウォビュレーションは、表示ピクセル数を変えることなくデジタルプロジェクタの有効解像度を倍増させ、またその後登場する「4X」バージョンはさらに画質が改善されるという。HPでは、この技術を採用することで、さらに低価格の部品を使いながら高画質のプロジェクタをつくれるようになる、と説明している。
デジタルプロジェクタは、会議でプレゼンテーションを行う人々の間で定着しており、現在この市場は成長を続けている。また、この技術はホームエンターテイメントシステムや映画館でも使われている。しかし、コンピュータのモニタやテレビと同じように、画質はプロジェクタの表示可能ピクセル数によって制限を受けてしまう。
HPは、この技術によって2006年までにデジタルプロジェクタ販売でトップに立つことを目指しているが、同社は現在もエプソン、BenQ、InFocus、ソニー、NEC、3Mといったライバル各社との激しい競争に直面している。さらに最近では、HPの強敵であるDellもプロジェクタ市場に参入している。
ウォビュレーションという名前は、「wobble(揺れ)」という言葉にちなんで付けられたもの。この技術は、イメージをある方向に1ピクセルにも満たない距離分だけずらし、プロジェクションビームの向きにあわせてイメージを変化させる仕掛けになっており、イメージを相互にオーバーラップさせることで、オリジナルのピクセル幅より繊細なディテールを再現できる。
たとえば、第一世代の2Xウォビュレーションで補強した1024x768ピクセルのディスプレイは、2048X1536ピクセルの有効解像度を持つ。そして、今後登場する4Xウォビュレーションを使うと、これが4096X3072ピクセルに達する。
ウォビュレーションのかかったイメージには、従来のデジタルプロジェクション技術で各ピクセルを分離する黒く細い線の「網目」グリッドがない。
ウォビュレーションには、Texas Instruments(TI)のDigital Light Processing(DLP)技術が必要となる。これは、微細なビームをスクリーンに投影したり、偏向させるよう、マイクロチップ上に配置された極めて小さい鏡を素早く旋回させ、表示する光をコントロールする技術。通常のDLPはビームを一方向だけに投影するが、ウォビュレーションは異なるイメージをやや異なる方向に投影してイメージのオーバーラップ効果を生み出している。
HP広報担当のPat Kinleyは、同社がウォビュレーションに関して特許を申請中で、また同技術のライセンス供与に関する交渉を進めていることを明らかにした。同氏は、HPの最初の製品となる業務用デジタルプロジェクタは、2Xウォビュレーションを採用して2005年に発売され、さらにその後4Xを採用した製品も計画中だと話している。
なお、ウォビュレーション技術は、HPがもつインクジェット印刷技術関連の特許やその他のアイデアに磨きをかけ、デジタルプロジェクタに応用した結果生まれてきたものだと、Kinleyは語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」