パデュー大学の研究者たちは米国時間25日、雷雨の力を応用したコンピュータチップの冷却方法を思いついたことを明らかにした。
パデュー大学の機械工学研究者たちは、カーボンナノチューブを使って微細レベルで稲妻と風を起こすことでコンピュータチップを冷却するデバイスの製作に将来利用可能となる技術特許を申請した。この特許は、National Science Foundationなどが資金提供した研究プロジェクトから生まれたものだ。
研究者はこのアイデアを概念的に実証しただけだが、これはコンピュータメーカーが将来、深刻化しつつあるチップの発熱問題に、水冷式より信頼性の高い方法で対処するために役立つ、と断言している。
パデュー大学のデバイスでは、特殊炭素分子の長細い連鎖であるカーボンナノチューブをチップの近くに並べる。そして、いくつかのナノチューブに負電荷を加えると、それによって電子が発生する。この電子が周囲の空気と混ざると、この空気がイオン化される。すると、イオン化された空気の微細な雲が極小大気圏で電荷の不均衡を引き起こし、稲妻が発生する。これは非常に小さい稲妻だが、原理は雷雨と同じだ。
一方、電子の雲は隣接した電極と誘引と反発を繰り返す。電極上で電圧を変えると、雲の移動によって空気が撹拌され、冷却用の微風が発生するという仕組みだ。
パデュー大学機械工学部教授で、このデバイスの開発を進めるSuresh Garimellaは声明の中で、「稲妻を発生させるには数十キロボルトという高電圧が必要だが、われわれはそれを100ボルト以下で発生させしてまう。簡単に言うと、稲妻のようなものをナノレベルで発生させているのだ」と述べている。
これらの研究者にとっての次のステップは、プロトタイプの作成と、ナノチューブのほかにこのデバイスで利用できそうな各種素材の調査だ。また、このようなデバイスが実現できたとしても、それをコンピュータに搭載するには、その前に解決しなくてはならない技術的な問題がいくつかある。たとえば、半導体は火花防止用のスパークアレスタで覆われている。静電気はチップに穴を空けてしまうこともあるが、パデュー大学のデバイスは簡単にいうとにまさにその静電気を発生させている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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