Intelは、ナノテクノロジーの技術開発を行うZyvexという企業と共同で、PC内部に閉じ込められた熱の放射にカーボンナノチューブが役立つかどうかを調べる研究に取り組んでいる。
この研究では、カーボンナノチューブをサーマルグリスの中に入れ、マイクロプロセッサとヒートシンクの間に配置する薄い粘膜層を形成することに焦点をあてている。ヒートシンクはアルミニウムでできた部品で熱を吸収する。
先進的なマイクロプロセッサはかなりの熱を発生させ、これが最終的にはコンピュータ内部の部品を痛め、信号に干渉する。PCメーカー各社は、これまで何とかこの熱を発散させてきたが、それもチップの高速化とPCの小型化によって徐々に困難となっている。
Intelの関係者が米国時間26日に語ったところでは、サーマルグリスが「CPUの熱を冷却し、これを一段と効率的にヒートシンクへ流してくれる」という。
この目的にカーボンナノチューブを使うのは、かなり現実離れしているが、しかし理にかなった選択だ。このチューブは熱を非常に効率的に処理し、またサイズも非常に小さいうえに、ポリマーやコーティング中に浮かんだ状態にすることができる。専門家が示唆するところでは、ナノチューブは最初に導電性もしくは導熱性コーティングの形で商用化されることになるという。
このIntel関係者によると、Zyvexと共同で進めているのはあくまで研究プロジェクトであり、その成果が実際に製品化される保証はないという。
1997年に設立されたZyvexは、ナノチューブのさまざまな応用方法を考案してきた。たとえば、同社はナノチューブを溶剤中に浮かせる方法を考案したが、このテクニックがIntelとのプロジェクトの中心となっている。同社はさらに、ナノチューブを配置したり、これらを集めて大型のコンポーネントを組み立てるための機械も開発している。こうした機械は、顕微鏡などの機器といっしょに使われている。
Zyvexは、米国立科学技術研究所などの政府機関から研究助成金を受けている。
熱の分散方法に関する研究は数多くの企業が行っている。今年は、温度が高くなるコンポーネントをすべて空気の流れに沿って1列に配した、Intel PrescottチップベースのPCがデビューするはずだ。このデザインにより、温度が上昇するパーツを少ない数のファンで冷却でき、メーカーはPC全体を小型化できるようになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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