Palm OS向けのソフトウェア開発者にとっては、PCとの同期の問題など忘れるべき時が来ているようだ。
これは、Palm OSの開発元であるPalmSourceからのメッセージだ。Palm用ソフトの開発者はこれまで、PCと時折「ホットシンク」する携帯端末用のプログラムを書いてきた。しかし、この携帯端末は将来ワイヤレス接続機能を持ち、インターネットに直接アクセスできるようになる。その結果、開発者は今までとは異なるタイプのソフトウェアを書く必要に迫られている。
「開発者にワイヤレスの世界について考え始めさせることは、非常に重要だ」というPalm Sourceの最高経営責任者(CEO)、David Nagelは実際に過去3年間にわたり、開発者の考え方を変えようとしてきている。
昨年Palmから分社したPalmSourceにとって、この動きは非常に重要だ。PalmSourceは、Palm OS搭載機の販売から利益を得る会社だが、このところ携帯端末市場は低迷中で、僅かな成長しか見込めない。対照的に、新たに姿を現しつつあるスマートフォンの市場は、今後数年間に年率70〜80%のペースで成長しようとしていると、アナリストは述べている。
しかし同社には、スマートフォン市場への参入を試みる中で、開発者を無くすリスクもある。これまでPalm OSには、MicrosoftのPocket PCなど競合するプラットフォームに比べて多くのアプリケーション開発者がおり、それが同社のアドバンテージとなってきていた。それに加えて、PalmSourceは、プログラマーに対して同時に2つのバージョン向けにアプリケーションを開発するよう求めてもいる。
これまでPalm OSを支えてきた多数の小規模な開発会社や個人プログラマーらに、異なる種類のソフトウェアを書くためのリソース、あるいはその意欲があるかどうかははっきりしない。
「スマートフォンは、本当に事態を改善するのだろうか」と、Palmの開発者John Chaffeeは問いかける。「明らかにそれが皆の関心事だ」(Chaffee)
Chaffeeはこれまで、多くのPalmプログラマーと同様、Palmデバイス上に保存され、PC接続時にはデータを同期させるソフトウェアの開発に重点を置いてきた。Chaffeeの働くSplashDataという会社では、デスクトップコンピュータと携帯端末の両方で動くプログラムの提供を焦点を絞ってきた。
Chaffeeは、たとえばオンラインから金融情報を入手するなど、いつくかのワイヤレス機能をプログラムに追加する方法を探るつもりでいる。しかし、ワイヤレス接続に頼るソフトウェアに焦点を絞るのはまだ時期尚早だとも言う。
「ワイヤレス通信にはイライラさせられることが多い。いつになったら、きちんとネットワークに接続でき、その接続を保っていられるようになるのだろうか」とChaffeeは述べ、彼の住むシアトル郊外には、データ通信サービスを提供している移動通信会社がひとつしかないと指摘した。「我々がつくるソフトはどれも、ワイヤレス接続に依存するものにはならないだろう」(Chaffee)
PalmSourceは数十万の開発者に対して、新しい方向へ進むよう求めているものの、それが決して簡単なものにはならない可能性があることは、Nagelも認めている。「通信の世界はもっと複雑だ。通信キャリアについて心配しなくてはならない。だが、開発者の多くは、これまでそんな体験はしたことがない」(Chaffee)
それでも、開発者らは無線端末のある部分を気に入っている。それは、プログラムを売るためのいまよりも直接的な手段になるというところだ。無線付きの端末なら、ソフトウェアを購入し、ダウンロードして、すぐに使えるようになり、いままでのようにCDを買ったり、ソフトウェアをPCにダウンロードしてから端末に移すといった手間が省ける。
「これからは、ワイヤレスに対応しなくてはならなくなるだろう。それこそまさにスマートフォンが起こす変化だ」と、AstrawareというゲームメーカーのCEO、Howard Tomlinsonは語った。同社は、人気の高い「Bejeweled 」やその他のゲームを携帯端末用に開発している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力