Intelの戦略的投資プログラムであるIntel Capitalは1月22日、無線データ通信サービスを手がける日本通信に出資したと発表した。Intel Capitalは日本通信の全株式の6%を取得し、第4位の株主となる。出資金額は明らかにしていない。今回の提携により、両社はインテルのノートパソコン向け無線技術であるCentrinoと日本通信のデータサービス「bモバイル」を搭載した製品の開発をPCメーカーに働きかけていく。
日本通信は自前で通信インフラを持たず、他社のインフラを利用して移動体通信サービスを提供する仮想移動体通信事業者(MVNO)。DDIポケットのネットワークを利用した128kbpsのPHSデータ通信サービスと、無線LANスポットへのアクセスを組み合わせた、bモバイルという定額制のデータサービスを提供している。日本通信 代表取締役社長の三田聖二氏によると、2002年3月末の売上高は約85億円、純利益は約2億円で、累損・借金ともにゼロ。また、bモバイルデータサービスの利用者数は個人・法人合わせて約3万5000件としている。
Intel Capital 副代表 兼 国際部門ディレクタのクロード・レグリース氏 | |
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今回、出資先に日本通信を選んだことについてIntel Capital 副代表 兼 国際部門ディレクタのクロード・レグリース氏は「ユビキタスな無線LAN環境を作りたい」と狙いを語る。ブロードバンドの普及に伴って国内でも無線LANスポットは増えているが、事業者間のローミングがなく、契約した事業者のスポットでないと利用できない。そのため、利用者がなかなか増えていないのが実情だ。日本通信は多くの無線LAN事業者とローミング契約を結んでいるため、国内の約75%に当たる3000スポットで利用できるという。また、無線LANのつながらない場所でもPHSによるアクセスが可能なため、「日本中どこでもCentrino搭載PCからインターネットにアクセスできる」(レグリース氏)と期待を寄せる。
インテルでは今後、Centrinoを搭載したノートPCにbモバイルサービスをバンドルするよう、メーカーに働きかけていく。具体的には、インターネットへ簡単にアクセスできるようにした日本通信のソフトウェア「bアクセス」などをプリインストールするよう要請するといい、近くメーカーと共同で実験を行う予定という。bモバイルは加入手続きが必要なく、データカードを差し込めばインターネットにすぐつなげられることから、「購入したばかりのノートPCでも、電源を入れれば(複雑な設定などを行わなくても)すぐネットワークにつなげられるものを準備している。数カ月以内に発表できると思う」(三田氏)とした。
Intel Capitalは昨年インテルが発表したCentrinoの市場を拡大するべく、モバイルPC関連のベンチャーに積極的な投資を行っている。「エコシステムを作り上げ、ユーザーがCentrinoを利用するのを手助けしたい」(レグリース氏)。昨年9月には電池技術開発ベンチャーであるパイオニクスにインテル キャピタル ジャパンが出資し、充電なしに長時間利用できるノートPC用電池の開発を支援している。
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