新興企業のPolyFuelが、ノートパソコンや携帯電話用の燃料電池を生成する高分子膜をリリースした。誕生してまだ間もない燃料電池業界にとっては、画期的な出来事だ。
今回発売されたのは、ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)を生成するハニカム構造の高分子膜だ。膜の片側にはメタノールと水の混合物が置かれる。メタノールが電荷を帯びて触媒に反応すると膜に引寄せられて電子を放出し、これが燃料電池を搭載する機器に電力を供給する仕組みだ。この反応の副産物は二酸化炭素と水になる。なお、自動車用の燃料電池では、メタノールではなく水素が使用されている。
東芝など日本のメーカー数社は、自社製品に燃料電池を搭載する計画を発表している。燃料電池を搭載したノートパソコンやハンドヘルドは、当初の予定では2004年に発売されるはずだったが、大半のメーカーは計画を2005年に延期している。
希釈されたメタノールは簡単に発火しないことから、米運輸省も、飛行機で一部燃料電池を使用することを承認している。
PolyFuelによると、現在35社の企業が、DMFCの開発プログラムを実施しているという。
米国土安全保障省などの政府機関も、コンセントから電気を得るのが難しい監視カメラやセンサといった機器に、燃料電池を利用することを検討中だと、PolyFuel最高経営責任者(CEO)のJim Balcomは述べている。
燃料電池は、ノートパソコンのバッテリーの代替として急速に普及するというより、バッテリーを補う形で広まりそうだ。燃料電池は、バッテリーによる駆動時間を最大10時間以上も延長できるという。長時間充電せずに使えるノートパソコンへの需要が急速に高まり、バッテリーの化学技術の進歩がこれに追いついていないことから、これを有望と見たIntelなどの企業がPolyFuelに投資を行っている。
PolyFuelと競合するのはNeah Power Systems、そして東芝のような大企業だ。PolyFuelは以前、大手メーカーにサンプルを提供したことはあったが、電解質膜を一般に販売したのは今回がはじめてだ。
PolyFuelはSRI Internationalの研究プロジェクトから生まれた企業で、燃料電池自体の生産は行なわない。同社は、プラチナや他の材料を含むプラスチックでできた精巧なシートである高分子膜を設計・生産して大手メーカーに販売し、メーカー側がこの高分子膜を使った電力供給ユニットを製造する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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