現在いくつかの三次元(3D)ディスプレイ技術の開発が進められており、また有機発光ディスプレイは急速な成長を遂げる寸前にあると、調査会社の米iSuppli/Stanford Resourcesが米国時間12日に語った。
同調査会社によれば、有機発光ディスプレイ(OLED)市場は、今年度の2億1900万ドルから2009年には30億ドル以上にまで成長するという。
ウェブを使って行った、新しく登場してきたディスプレイ技術に関するプレゼンテーションのなかで、iSuppliのアナリストKimberly Allenは、開発中の3Dディスプレイ技術として、右目と左目用にそれぞれ異なる画面を用いる技術や、先ごろシャープが発表した製品で採用している方位角差技術をあげた。これは、ディスプレイ前面の2つの異なる領域にピクセルイメージを送信するというものだ。
Allenは、米IO2 Technologyが開発した、空気を照らして3Dのように見える画像を作り上げる技術や、米Actuality Systemsの技術にも言及した。ActualityのPerspecta Spatial 3DDisplay技術は、回転式映写レンズを使い、透明なドーム内で空中に浮かんだ立体画像を作り出すものだ。
「革新的な3D技術の開発者たちは、今の不況とは無縁だ」(Allen)
同氏のプレゼンテーションは、主にまだ主流となっていないディスプレイに焦点を当てた。今日のディスプレイ分野では、コンピュータモニタやテレビに使われている従来のブラウン管(CRT)に、液晶ディスプレイがとって代わりつつあり、これをめぐって大きな戦いが起こっている。市場調査会社の米DisplaySearchによると、今年度第1四半期における全世界での液晶テレビの出荷台数は73万4000台に達し、前年同期からは223%もの伸びを見せているという。また、同調査の結果、同四半期にはCRTモニタの出荷台数が減少する一方で、液晶モニタの出荷は急増したこともわかった。
Allenによると、今後液晶ディスプレイに戦いを挑むと考えられているのは、OLEDだという。OLEDは、発光ダイオードの半導体素材として有機ポリマーを使うため、軽量で薄く、視野角の広いディスプレイの開発が可能になる。OLEDは、携帯電話やカーステレオのような製品に搭載されていると同氏は述べた。
バラ色の成長予想にもかかわらず、この技術はいくつか課題に直面していると、同氏は述べた。その1つは製品寿命が短いということ、もう1つは、一般的に深みのある青色を出せないということだ。「青がうまく出ないのが問題だ」(Allen)
Allenによれば、フレキシブルなディスプレイもいくつか登場し始めているという。「柔軟に形状の変化するディスプレイ」というコンセプトは、何十年も前からあるものだが、技術的な障害がこれまでずっとその実現を妨げていたという。さらに、この技術を積極的に推し、時には普及のために主導権を握れるような企業がないと、Allenは指摘した。それでも、フレキシブルディスプレイの研究分野ではいろいろな動きが見られ、これをテーマにしたカンファレンスが開かれたり、この技術の開発に特化した新興企業が現れたりしているという。
フレキシブルディスプレイの用途として考えられるのは、「電子ペーパー」やロールアップスクリーンなどがある。「このディスプレイの最適な用途は、いまの我々には考えもつかないものになるだろう」とAllenは述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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