この夏、ニューポート・メサ統一学区に教室運営技術のための連邦資金が付与されたが、学区の行政官はPCではなく、携帯端末を購入するという一風変わった使い方をした。
1人あたり200ドルの予算で、学校は1100台のPalmOne Tungsten Eを購入できた。つまり、同学区は台数的に、デスクトップコンピュータやノート型PCの何倍もの携帯端末を入手したことになる。年明けには、一部の学生や教員に配布し、生徒の学力向上に役立つかどうか検討することになっている。
「我々は、生徒全員に配布できるツールが欲しかった」と、南カリフォルニア地区の教育テクノロジー担当ディレクターのSteve Glyerは語っている。
売上の起爆剤を探している携帯端末メーカーは、米Apple Computerが20年前に教育市場を狙ったのと同じように、ますます教育市場に目を向けるようになっている。メーカーのこの戦略が成功すれば、公的資金を提供される手堅い顧客を得て、停滞している売上に貢献すると同時に、卒業後の生徒たちの間に、将来の需要を喚起することもできる。
このように、教育関係者からの関心が集まる携帯端末分野だが、ここ何期か続けて業界全体の売上が振るわず、主にテクノロジーエリートにアピールしてきたこのデバイス市場では、その先行きについて暗雲がたちこめている。今年度第2四半期の全世界で出荷台数は、昨年同期に比べ10.7%減の227万台だった。米IDCによれば、確かに2Qは伝統的に販売が低調な四半期だが、1Qの出荷台数も21%以上落ち込んだという。
業界関係者の多くは、引き続き、最大のビジネスチャンスは実業界にあるとみているが、企業の導入は予想を下回っている。同時に、携帯端末メーカーは、オーガナイザー機能と電話機能を組み合わせた「統合型」携帯電話との激化する競争にもさらされている。
今週、この分野の先駆者である米Palmと米Handspringが合併してPalmOneとなり、Palm OSの開発とライセンスを管理するPalmSourceという新しい会社を作ったことに、業界の苦悩が浮き彫りにされている(HandspringはPalmとの合併前に、従来の携帯端末から統合型デバイスへとすでに重点を移していた)。
携帯端末に対する需要は全体的には芳しくないが、PalmOneなどの各社は、小中学校や高校での需要増加に明るい兆候を見出し始めている。実際に、もしアナリストの予想が正しければ、教育分野は携帯端末市場全体のなかでも大きな割合を占める可能性がある。
調査会社の米IDCによると、全米の公立学校が、2001-2002年度に携帯端末購入に使った金額は、950万ドルでしかなく、IT分野全体で51億ドルを費やしていることを考えると、この額はほんの僅かなものに過ぎない。だが、これまでよりも強力な機器の登場が、教育用ソフト開発を進める動きと相まって、教師たちの懸念を緩和し、端末メーカーにとって新たな市場を切り拓いた。
こうした要因から、アナリストは、今後数年で大きな売上の伸びが期待できるとの予想を発表している。2003-2004年度に、公共の小中学校や高校が携帯端末購入に充てる金額は4270万ドルに達すると見られ、また2005-2006年度には3億1000万になると、IDCは予想している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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