米Dellは、同社の家庭エンターテインメント製品に関する計画の詳細を発表し、パソコン以外の分野にも事業範囲を拡げていく姿勢を示した。
同社は25日(米国時間)、記者向けに電話会議を開催し、新製品や、「パソコンが家庭でのエンターテインメントの中枢になる」というビジョンの実現方法などについて、その詳細を明らかにした。Dellの最高経営責任者(CEO)Michael Dellは、デジタル音楽プレーヤーやオンライン音楽配信サービス、コンピュータディスプレイにもなる多機能液晶テレビ、プロジェクタ、新しい携帯端末などを発表した。
「我々は、いまここで家電分野への進出を正式に発表する」と、Dellは電話会議の冒頭で発言。「わが社のパソコン事業は全セグメントで利益を上げているが、我々はさらに製品ラインアップを拡大していく」(Dell)
Dellは、パソコン分野よりさらに大きな家電市場への進出は、自社にとって自然な流れだと付け加えた。アナリストやメーカー、コンシューマーは、パソコン市場と家電市場が融合するのを長らく待ち望んできており、またデジタルコンテンツの記録再生機器の価格が下がったことで、最近デジタルメディアが普及したことから、多くの企業が家電分野への進出計画を進めている。
Dellが、同社の有名な直販ビジネスモデルにより、家電市場に重大な影響を及ぼすと見る向きは多い。同社の直販モデルは、利益マージンとコストを削減し、そのメリットをコンシューマーに還元するものの、競合他社には弊害をもたらすことも多い。
Dellは、小売モデルと家電事業の「非効率性」に言及し、家電市場においてコストをひきさげる計画をほのめかした。
Dellは、価格や製品の特徴については明らかにしなかったが、25日に発表した製品を米国では年末商戦に間に合うように発売し、また米国以外でも来年には市場に登場させると付け加えた。
同社はまた、10月半ばに公開される、同社ウェブサイトの新デザインのプレビューや、Dell Media Experienceという名の新たなデジタルメディア管理用ソフトのデモも実施した。Dell Media Experienceは、まもなくDimensionパソコンシリーズ全機種にプレインストールされる見込みで、デジタル写真や音楽、ビデオ、DVDなどが管理しやすくなる、とDellは述べている。
オンライン音楽サービスのDell Music Storeについて、CEOのDellは、価格は競合する他のサービスに対して競争力を持つよう設定されるはずだと述べた。同社は複数の大手レコード会社と交渉中であることも明かした。ちなみに、米AppleのiTunes Music Storeでは1曲あたり99セントで、音楽ファイルをダウンロードできる。
このサービスは、顧客がパソコンやDell Digital Jukebox携帯プレーヤーに音楽をダウンロードできるようにするもので、顧客の楽曲再生履歴を分析して、新たな選曲を推薦することも可能だ、と同社は説明している。
Dellはまた、17インチのDell W1700 LCD TVで液晶テレビ市場にも参入する。最近、液晶テレビに対する人々の関心が高まっており、市場調査会社DisplaySearchの調査によると、第1四半期の液晶テレビの出荷台数は、前年同期比223%増の73万4000に達している。価格の低下で液晶テレビ市場の成長に拍車がかかっているものの、テレビ市場全体に占める液晶テレビのシェアは、まだごくわずかだ。DisplaySearchのプレジデント、Ross Youngによると、1年間に出荷されるテレビは約1億7000万台だという。それでも、やはり液晶テレビの高い成長率は、パソコン・家電メーカーの関心を集めている。
Dellは最新のPDA、Axim X3も発表した。これは現在発売されているX5よりも、薄型で軽量のバージョンだ。X3には、Wi-Fi機能がオプションとして提供されている。また同社が発売するプロジェクタの製品名は、Dell 2200MP Projectorであることが明らかになった。
家電市場に進出する各社
Dellは、家電市場に進出を試みている米Gatewayや米Hewlett-Packard(HP)、ソニー、米Apple Computerなどと競合することになる。
DellとGatewayは似たような戦略をとっており、どちらも従来のパソコン直販モデルを使って、多数のサードパーティ製造パートナーを集め、自社の仕様に基づいてDellやGatewayのブランド製品を構築する。
しかしDellとGatewayでは、家電市場へのアプローチ方法が若干異なる。DellはDimension XPSデスクトップゲームシステムや、Media Centerデスクトップなど、パソコンを中心に据えたアプローチを取っているが、Gatewayはフラットスクリーンのテレビで顧客を惹きつけようとしている。
いっぽう、HPでは、パソコンやプリンタ、カメラ、その他の家電機器でデータ共有が容易に行なえるよう製品を設計している。同社は最近、家庭内の電子デバイスとパソコンの間でマルチメディアファイルが共有できるDigital Media Receiverなど、家庭向け新製品約160種をリリースしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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