リスクを伴うビジネス?
Mac製品の限られた市場を満たすのに多くのアプリケーションはいらない。このためサードパーティ開発者が、Mac市場向けの開発を行うことにはリスクが伴う。これに対するAppleの姿勢は、自社のアプリケーションを積極的に販売していくというもので、ビデオ制作やデジタル写真のような専門性の高いクリエーター向けの市場を狙った製品を発表してきた。
「いまは、AdobeにとってのAppleの重要性よりも、AppleにとってのAdobeの重要性のほうが大きくなっている」とAdobeユーザーのDumasは述べ、「歴史的な立場が逆転してしまった。Appleは、AdobeがMacのプラットフォームを見捨ててしまうことを心配している。そのため、Appleに残された選択肢は、Adobe製品に対抗する製品を自社で開発するしかなくなってしまった」と付け加えた。
しかし、市場調査会社IDCアナリスト、Roger Kayによれば、サードパーティの製品と競合するアプリケーションをつくることは、Appleにとって重大なリスクだという。
「Adobeのような主要ベンダーを遠ざけているとすると、ひとつ大きな疑問が浮かんでくる。つまり『Appleはすべてのユーザーニーズに自社で応えられるのか?』ということだ」と、Kayは述べた。「Appleがすべてを自力でやってのけるなら、確かにパートナーは必要ないと主張することもできる...そこで彼らが答えを出さなければならない問題は、今後、このようなパートナーを必要とするかどうかだ」(Kay)。
ますます多くのMac用ソフトウェアに対する需要を満たそうとするAppleの戦略は、より多くのアイテムをMac OSに統合するという方向に同社を向かわせた。これはライバルメーカーのMicrosoftが司法当局と何度もトラブルを繰り返してきた、ある種の「バンドリング」行為と似たようなものだ。しかし、Appleのシェアが小さいことから、同社は同じような注目を浴びずにすんでいる。
「Appleが独占的慣行に関して精査を受けていないため、同社はMicrosoft以上に好き勝手にバンドルできる」とKayはコメントした。Appleの態度は高圧的かもしれないが、これに対しては誰も何もできないと同氏は付け加えた。「顧客や開発者パートナーは頭を悩ませているかもしれないが、当局は何もしないだろう」(Kay)
Adobeの顧客でフロリダ州オーランド在住のデザイナーであるJake Kemperは、Appleが支配力を振るっているとの考えに同意した。
「Appleには、ユーザーに提供するあらゆるソフトウェアを独占できる力がある。独自の世界を持ち、ハードウェアも持っているし、OSに至っては完全にコントロールしている。私が知る限り、Appleが製品を統合したとき、Adobeには競争する意味がなくなった。Adobeが自社製品を新しいOSに統合できるように、Appleが積極的に手を差し伸べたとは思わない」(Kemper)
しかし、Mac向けのソフトウェア製品に対するこのような支配的な姿勢は、Appleにとって両刃の剣になると、Kemperは主張した。「Appleが提供するものがMac上ですばらしく動作するのは、すべてのハードウェアとOSをコントロールしていれば当然のことだ。しかし、これは悪い結果をもたらす。ユーザーなら誰でも、選択肢が多いことを歓迎する...最高の技術革新は競争から生まれるものだ」と、同氏は警告を発した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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