人間の脳は本当に畏怖すべきものだ。
普通の健康的な脳には約2000億個の神経細胞があり、その神経細胞は数百兆個のシナプスによってつながっている。それぞれのシナプスはマイクロプロセッサのような働きをし、数万個のシナプスは1つのニューロンをほかの神経細胞につなぐことができる。大脳皮質だけでも、約125兆個のシナプスがある。これは1500個の銀河系を満たす星の数に匹敵する。
もちろん、これらのシナプスは極めて小さい(直径1000分の1mm以下)ため、人類はシナプスの数が時間の経過とともに変化すること以外に、シナプスの正確な働きやその仕組みをはっきりと確認できないでいた。しかし、それは今までの話だ。
スタンフォード大学医学部の研究者たちは、アレイトモグラフィーと呼ばれる新しいイメージングモデルの開発にこの数年間を費やしてきた。このモデルは斬新な演算ソフトウェアと連携して、画像スライスを縫合し、回転、貫通、操作が可能な3次元画像を作成することができる。この研究は今週発売の雑誌Neuronで紹介されている。
研究チームはこのモデルをテストするため、マウスから組織標本を採取した。このマウスの脳は、大脳皮質内の大きなニューロンが蛍光タンパク質(クラゲが持っている)を発現して、黄緑色に光るようにバイオエンジニアリングを施されている。この光のおかげで、研究者たちはシナプスと背景にあるニューロンを見分けることができた。
分子生理学と細胞生理学の教授で、この研究に関する論文の上級執筆者でもあるStephen Smith氏によると、脳の複雑さは想像をはるかに超えており、信じられないほどの複雑さだったという。
1つのシナプスは、それ単体でただのオン/オフスイッチというより、記憶装置と情報処理の両要素を伴うマイクロプロセッサとして機能する。そしてシナプス1つで、分子レベルの極小サイズのスイッチを1000個程度持っている可能性がある。1つの人間の脳が持つスイッチの数は、地球上にあるすべてのコンピュータやルータ、そしてインターネット接続よりも多い。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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