ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は5月15日、世界のソフトウェアの違法コピーによる損害状況をまとめた「BSA世界ソフトウェア違法コピー調査2011」(違法コピー番付)を発表した。
調査によると、世界全体でソフトウェアの違法コピーを行っているPCユーザーは57%、PCソフトウェアの違法コピー率は42%であることがわかった。
日本のPCユーザーのうち、違法コピーソフトを取得したことがあると回答した人は39%だった。「いつも」「ほぼいつも」という回答は一部だったものの、ユーザーの3人に1人は「ときどき」あるいは「まれに」違法コピーをすると回答していることがわかった。性別では男性が52%、世代別では18歳から44歳が全体の69%を占めることが明らかになった。
違法コピー率では、日本は2010年の1位から順位を2つ下げ、世界33カ国中第3位の21%という結果となった。これはユーザーがインストールしたプログラムの5つに1つがライセンス違反であったことを示すもので、経済的損失は18億7500万ドル(約1500億円)にのぼるという。
世界的に見ると、違法コピー率の平均値は新興市場が68%、成熟市場が24%で、新興市場が成熟市場を大きく上回っている。近年、世界の違法コピー率は42%を前後しているにもかかわらず、損害額が2011年には634億5600万ドル(約5兆745億円)となるなど年々増加傾向にあるのは、徐々に拡大してきた新興市場での損害額の増加に起因するとみられる。
企業の意思決定者は、他のユーザーよりもソフトウェアの違法コピーを頻繁に行っていることがわかった。1台のPC用にソフトウェアを購入し、オフィス内のほかのPCにもインストールしている率も、意思決定者が他のユーザーの2倍以上になった。
世界的に見れば、知的財産権は原則として強固に保護されているが、違法コピーを行う者の行動を実際に変えるだけの誘引が決定的に欠けているという。違法コピー常習者のうち、違法コピーを控える理由として逮捕のリスクを挙げた者は、成熟市場では20%、新興市場では15%だった。
BSA日本担当共同事務局長の竹下千恵氏は、今回の調査結果について「もし消費者の39%がソフトウェアを万引きすると予告すれば、実行されるか否かに関わらず、当局は警察によるパトロールや罰則の強化によって対応するだろう。ソフトウェアの違法コピーについても、これと同様の対応が求められている。組織的な教育や法律の厳格な適用が必要だ」と述べている。
BSAでは、たとえば「1台のコンピュータでのみ使用することが許諾されたソフトウェアのパッケージを入手して複数のコンピュータにインストールする」などを違法コピーとしている。
BSA世界ソフトウェア違法コピー調査は、IDCとIpsos Public Affairsが共同で調査しBSAが毎年発表しているもので、今回で9回目。今回の調査では、全世界のPC市場の82%を占める33カ国1万5000人のコンピュータユーザーに対する調査を実施した。
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