ノルウェーのオスロ発--ウェブフォーマットの標準仕様であるCSS(カスケーディングスタイルシート)は、知る人の比較的少なかった長い期間を経て真価が認められ、新世代のインタラクティブで洗練されたウェブページの開発技法として中心的な役割を担うようになった。CSSは現在、新たな方向に発展しようとしており、この技術を生み出したHåkon Wium Lie氏は、新たな方向に改良が進めば、CSSを使ってさらに複雑なウェブページのレイアウトができるようになると考えている。
Opera Softwareの最高技術責任者(CTO)でもあるLie氏は、オスロで行われたインタビューで「レイアウトのためには、まだやるべき重要な作業が残っている」と語った。現在策定中の新しいCSS3は多段組みのテキスト配置に対応しているが、「CSSで新聞の紙面を模倣することはできなかった」。
現在、グリッドレイアウトおよびテンプレートレイアウトというCSSモジュールによってこの点に対処する取り組みが進められている、とLie氏は述べた。
CSSコードの中に直接、テキストで構成された一種の視覚的デザインである「アスキーアートでレイアウトを描き、そこにコンテンツを流し込む。実験的な仕様だが、CSSに不可欠な簡潔性や簡明さ、ミニマリズムを実現しながらも、かなり高度なレイアウトを作成できると思う」(Lie氏)
ウェブはオンラインドキュメントからオンラインアプリケーションへと発展しつつあるが、パブリッシングは依然として非常に重要だ。特に「iPad」をはじめとするタブレット製品が登場したことで、パブリッシャーがそういう媒体の利用を図る中、洗練された柔軟性のあるレイアウトを作成するツールは欠かすことができない。
Lie氏によると、レイアウトツールは、策定作業が進んでいる現行のCSS3仕様に、おそらくモジュールとして組み込まれるだろうという。
Lie氏は、ウェブの生みの親である欧州原子核研究機構(CERN)のTim Berners-Lee氏と協力して、1990年代にCSSを作り出した。CSSは次第に進歩し、最新のバージョンでは、ウェブページでどのようなことができるのかを新たに示すだけでなく、ウェブアプリケーションで可能になることも次第に示しており、その点で注目を集めている。
当初は基本的なフォントスタイルの指定や長方形のボックスを描く程度のグラフィック作業に利用されていたCSSは、成長を遂げた。
CSS3の新機能としては、変形(たとえば、要素をウェブページ内で移動させたり、サイズを変更したり、回転させたりするなどの)やアニメーション(写真が広がって背景となるといった効果を制御する)などがある。どちらの新機能にも、ハードウェアアクセラレーションが役立っている。
Web Open Font Format(WOFF)が加わったことも、大勢の新聞業界関係者に役立つ。WOFFは、長年にわたる断続的な取り組みを経て、わずかな「ウェブセーフ」フォントによる制限を超える手段として、タイポグラフィー専門家の支持を勝ち取ったように見える。
CSS3を利用すれば、プログラマーは膨大なJavaScriptコードを書くことなく、ユーザーがマウスポインタをオブジェクトの上に置いたことを検知してアクションを起動できるウェブページを構築できる。「Adobe Photoshop」を使った作業やネットワークデータの使用量を減らして3Dレイヤ効果を実現するドロップシャドウも、新機能として搭載される。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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