米国時間8月1日にリリースされた「iPhone」のジェイルブレイク(脱獄)の手法は、モバイルブラウザ「Safari」の脆弱性を暴露したのかもしれない。
iPhoneをコンピュータに接続してソフトウェア更新を実行する必要があった従来のジェイルブレイクと異なり、iPhone Dev Teamが「JailbreakMe.com」に投稿した最新のジェイルブレイクは、iPhone搭載ブラウザのSafariを介して完了する。
しかし、Safariを介するだけで実行可能だという事実と、そのやり方は、米CNETの読者とリスナー数人から8月3日に受け取ったメールで指摘されているように、より大きな問題を示している。つまり、可能性としては、あるウェブページを訪問しただけで、iPhone(あるいは「iPod touch」や「iPad」)を誰かにコントロールされる危険がある、ということだ。サイト側は、このエクスプロイトをシンプルなPDFへのリンクとして掲載でき、リンクをクリックすること以外に、ユーザーの明確なアクションを必要としない。ユーザーがクリックすると、このサイトは、PDFビューアがフォントをロードする仕組みを利用するエクスプロイトを起動できる。
その結果、現在テスト目的で開発者の手元にある「iOS 4.1」ベータ版を除くと、ほぼすべてのバージョンのiPhoneファームウェアについて、このプログラムがiPhone、iPad、iPod touchに無制限でアクセスできるようになる。
Appleにコメントを求めたところ、同社の広報担当者は、「(当社は)この報告を認識しており、調査を行っている」と述べた。
Independent Security Evaluatorsの主席アナリストで、iPhoneのリモートエクスプロイトを最初に発見して公表したCharlie Miller氏は、「本当に深刻だ」と述べた。
Miller氏はCNETに対し、2つの脆弱性と2つのエクスプロイトが個別に存在すると説明した。同氏によると、脆弱性の1つは、SafariがPDFファイルを解読する方法に関係しており、これが防御的なサンドボックスの内部にエクスプロイトコードを送り込むことを可能にするという。もう1つの脆弱性は、コードがサンドボックスを突破し、デバイス上のルート、コントロール、権限を奪うことを可能にする、とMiller氏は述べた。
「基本的に、iPhoneは複数の防御レイヤによって安全性を確保しているため、たとえ誰かがユーザーのウェブブラウザを危険にさらそうとしても、攻撃者ができることは限られる」(Miller氏)
今回のエクスプロイトは悪意のないものだが、別のハッカーがこのソフトウェアを入手してリバースエンジニアリングを行い、悪用する目的でデバイスの制御を奪取するエクスプロイトをリリースするかもしれない。
「iPhoneの研究を手がけていることで知られる人は大勢いるが、今回の人物については聞いたことがない。そこから分かるのは、(iPhone研究で)知られている研究者の人数より何倍も多く、同等かおそらくそれ以上の知識を持つ無名の研究者が存在することであり」、そうした無名の研究者らが、誉められない意図を持っている場合があるかもしれない、とMiller氏は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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