「iPhone 4」の発売から約1週間が過ぎたが、特定の持ち方で本体を握ると受信電波が弱くなる理由については、いまだに疑問が解消されていない。
Appleは、この問題が繰り返し再現可能な現象なのにもかかわらず、「問題はない」との見解を示している。一方、ソフトウェアのアップデートで解決可能な問題かもしれないという指摘もある。ケースを購入すれば、本体側面の金属製バンドに内蔵されたアンテナに指が直接触れるのを防げるという声もあり、Appleもケース購入を推奨している。
技術系ブログ「AnandTech」では、Brian Klug氏とAnand Shimpi氏が、iPhone 4の実機を使い、アンテナが覆われたときの受信状態をさまざまなスマートフォンと比較する独自の実験を行っている。両氏は実験の結果を踏まえ、以下のように結論づけている。「ともかく、Appleはステンレス製のバンド部分に絶縁コーティングを追加で施すか、『Bumper』型ケースの購入代金を補助するべきだ。たったそれだけで済む問題だ」
Bumperは、本体の側面だけを覆うホルダーで、AppleはiPhone 4の発売と同時に29ドル(日本での販売価格は2800円)で販売を開始した。同社は既にBumperケースを無料提供するつもりはないとの意向を示している。場所や使用する人によって状況は異なるものの、多くの人々によってこの問題が再現されていることを考えると、同社が保護ケースを無料提供しない理由は不明だ。
米CNETも、「YouTube」に動画を投稿している多くのユーザーと同様に、問題を再現することに成功した。一方、Klug氏とShimpi氏は、場所とiPhone 4の持ち方をさまざまに変えて信号の弱まり具合を測定ならびに記録し、「iOS 4」を使用している「iPhone 3GS」や「Android」ベースの「Nexus One」と比較している。2人は、それぞれの携帯電話で6回実験を行い、各機器別に実験結果の平均を出した。
ユーザーが通常手を触れる場所である金属製バンドにアンテナを直接内蔵するデザインをAppleが選んだことにより、信号強度はむしろ向上していると、Klug氏とShimpi氏は述べている。だが、手で携帯を包み込むように持つと、受信電波は明らかに弱くなった。電波は「端末の向きや周囲の環境、セルブリージング(基地局を使用するユーザーの数に応じてセル半径が変化する現象)に対して非常に敏感だ」と両氏は書いている。
両氏はさらに「結果は一目瞭然で、改めて説明するまでもない」と述べたうえで、以下のように続けている。「ケースに入った状態では、iPhone 4はNexus Oneよりも若干性能が高い。だが、持ち方次第で、減衰は計測可能なレベルにまで大きくなる。きつく握りしめると、24dBmも減衰する可能性がある。普通に持った場合の減衰は平均で20dBmだった」
Appleが米国時間6月24日に発表したこの問題に関する唯一の公式声明で述べたように、これはたいていの電話で起こることだ。だが、実験で使用された他の携帯電話は外周部にアンテナが内蔵されていないうえに、頻発している現象だと言っても、この問題を完全に回避する手段があるわけではないというのが、Klug氏とShimpi氏の見解だ。
「Appleも他のどのメーカーも、物理的現象を回避するために打てる手はない。簡単明瞭なことだ。この現象がすべての携帯電話の受信状態に影響を与えていることははっきりしている」と、両氏は述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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