NTTドコモは5月31日、タクシーの利用需要をリアルタイムに予測する「移動需要予測技術」を開発したと発表した。東京無線協同組合、富士通、富士通テンと協力し、ドコモの携帯電話ネットワークの仕組みを利用して作成される人口統計に、東京無線のタクシー運行データなどをかけ合わせて分析するもの。交通網の効率化をめざす世界初の実証実験を、2016年6月1日~2017年3月31日の期間に実施するという。
移動需要予測技術は、人口統計や運行データのほか、気象データや周辺施設(POI:Point of Interest)データなどに、機械学習などの人工知能技術(NTTグループのAI技術corevoを採用)を適用。タクシーの需要予測モデルを作成し、現在から30分後の乗車数を予測するもの。同実験では、その予測情報を東京無線のタクシードライバーに音声、文字、タブレットの地図上に分布して表示するなどして提供することで、実運用を通じた有効性を判断する。
対象となるタクシー車両の運行データは、富士通テンのタクシー配車システムと、富士通が提供する位置情報サービス基盤「SPATIOWL(スペーシオウル)」(走行する車両やセンサー、インターネットから収集される位置情報を活用したサービス)により収集する。
実験では、予測情報の精度の技術検証をして移動需要予測技術を確立し、全国のタクシー会社の運行データを追加することで、さまざまなエリアでのサービス提供を目指すという。さらに、予測情報はタクシー会社の既存の配車システムと連携し、新たな設備を設置することなく低コストでスムーズに移動需要予測技術の導入が可能となるよう検討する。
近年、海外からの観光需要の高まりにより、多くの観光客が集まり交通需要が高まっているが、少子高齢化により将来のドライバー不足が想定されている。そこでドコモでは、移動需要予測技術を実用化することで、タクシー売り上げ増と運行効率化、ドライバー配置の適正化によるタクシー供給不足などを解消できると考えているという。
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