KDDI、「auのほけん・ローン」を提供へ--スマホとのセット割も検討

 KDDIは2月17日、ネットとリアルを融合した新しい金融サービス「auのほけん・ローン」を提供することを発表した。同日には記者説明会が開催され、KDDI代表取締役執行役員専務の高橋誠氏が、金融サービスを提供する狙いなどについて説明した。

KDDI代表取締役執行役員専務の高橋誠氏
KDDI代表取締役執行役員専務の高橋誠氏

 高橋氏は冒頭、KDDIが中期戦略として打ち出してきた「3M戦略」について触れ、最近は2014年に開始したプリペイド方式の決済サービス「au WALLET」の経済圏を確立するための取り組みを進めてきたと説明。その結果、au WALLETの発行数がクレジットカードを合わせて1810万に達したという。また、auショップで買い物ができる「au WALLET Market」の会員数も累計で170万を突破するなど、大きな成果を上げてきたという。

 その上で高橋氏は、新しい戦略の方向性について説明した。日本では今後人口が大きく減少する一方で、単身の世帯が急速に増えて世帯数は増加傾向にあるなど、ライフスタイルの多様化が進んでいる。そこでKDDIでは、1人1人のライフスタイルをデザインする「auライフデザイン戦略」を進めていくとしている。

多様化する日本の家族像に合わせたライフスタイルデザインを提供することが、KDDIの新しい戦略になるという
多様化する日本の家族像に合わせたライフスタイルデザインを提供することが、KDDIの新しい戦略になるという

 また高橋氏によると、「2016年は家計見直しの年だと多くのメディアが伝えている」とのことで、ユーザーからのヒアリングの結果からも、住宅、保険、通信、電力の4つに関する料金の見直しをしたいと検討している人が多いとのこと。KDDIはこのうち通信に関して、総務省の要請を受けてライトユーザー向け料金プランの提供を予定している。

 電力に関しては、電力自由化を受けて「auでんき」の提供を発表。au WALLETによる割引施策も打ち出している。そうしたことから高橋氏は、「住宅や保険の見直しについても、au WALLETの経済圏の中で対応できないか」と考え、新たなサービスの提供に至ったと話す。

 住宅や保険などの金融サービスを展開する上でポイントとなるのが、KDDIがこれまで取り組んできた金融事業である。同社は2008年に、東京三菱UFJ銀行と共同で「じぶん銀行」を立ち上げて以降、2010年にはあいおいニッセイ同和損害保険と共同で「au損保」を立ち上げ、2015年にはライフネット生命保険と資本・業務提携するなど、金融の分野にも力を入れてきた。

KDDIは2008年の「じぶん銀行」を皮切りに、生命保険や電子マネーに至るまで、さまざまな金融事業を展開している
KDDIは2008年の「じぶん銀行」を皮切りに、生命保険や電子マネーに至るまで、さまざまな金融事業を展開している

 高橋氏はこれらの取り組みを振り返り、「最近『FinTech』という言葉が出てきているが、我々は2008年からモバイルを中心としたFinTechをやってきたと認識している」と、同社の優位性について話す。そうしたデジタルによる金融サービスをユーザー目線で見直し、スマートフォンとau WALLET、そして個人認証に用いた「au ID」を活用することで、より使いやすい金融サービスを提供するというのが、新サービスの柱となるようだ。

 そして今回、新たに発表されたのが、ライフネット生命の生命保険サービスと、au損保の損害保険サービス、そしてじぶん銀行の住宅ローンサービスを、KDDIが販売代理店となって販売する「auの生命ほけん」「auの損害ほけん」「auのローン」の3つ。これらを、auでんきに続く新しいライフプランサービス「auのほけん・ローン」として、4月より展開していくとしている。

KDDIは出資企業のサービスを代理店として販売する形で、生命保険、損害保険、住宅ローンの3つのサービスを提供するとしている
KDDIは出資企業のサービスを代理店として販売する形で、生命保険、損害保険、住宅ローンの3つのサービスを提供するとしている

 auのほけん・ローンの各サービスは、いずれもインターネットを活用することで、人件費や販売にかかるコストを抑え、安価な料金を実現している。またスマートフォンから必要な書類を撮影して送信するだけで、24時間いつでも自宅から申し込むことができ、審査などにかかる時間を短縮できるのも大きなメリットになるとのこと。

 中でもマイナス金利で注目を集める住宅ローンは、通常は審査のために膨大な書類の記入と提出が求められるが、これらをスマートフォンで撮影するだけで対応できるようになるとのことで、「特に借り換えの場合は、すでに信用を得ていることもあり簡単にできる」と高橋氏は話す。

インターネット経由での販売によって低価格・低金利を実現するほか、必要な書類を撮影するだけでいつでも申し込め、素早く契約できるメリットもあるとのこと
インターネット経由での販売によって低価格・低金利を実現するほか、必要な書類を撮影するだけでいつでも申し込め、素早く契約できるメリットもあるとのこと

対面型のコンサルティングも用意

 ただ高橋氏は、そうした革新性だけでは足りないものがあると話し、対面型のコンサルティングを挙げた。auのほけん・ローンはインターネットを活用して人件費にかかるコストを下げていることから、対面での顧客対応をすることには矛盾があるように見えるが、「ユーザーは対面で話を聞いて、自分にぴったりの商品かどうかを納得した上で、購入したいのではないか」と高橋氏は話す。

電話での相談だけでなく、近くのauショップにKDDIの有資格者を派遣し、対面での相談もできる仕組みも整えるとのこと
電話での相談だけでなく、近くのauショップにKDDIの有資格者を派遣し、対面での相談もできる仕組みも整えるとのこと

 同氏によると、生命保険サービスはインターネット経由で加入した方が安価であるにもかかわらず、その比率は2.2%に過ぎないとのこと。そこでKDDIでは、安心感を与える取り組みも進めるため、電話で有資格者が商品への相談に対応してくれる専用のコールセンター「auフィナンシャルサポートセンター」を設置。さらに直営店を皮切りとして、auショップにauフィナンシャルセンターの有資格者を派遣し、対面での相談にも対応していく体制も整えるとしている。

 また高橋氏は、auのスマートフォンとauのほけん・ローンを契約することで、auでんきと同様にお得に利用できるサービスを展開していきたいとした。金融商品であるため、監督官庁との調整が必要とのことで、今回は詳細は明らかにされなかった。ただ、高橋氏によれば「すでにテーマは決めてある」とのことで、調整が整い次第、サービス開始に合わせて何らかの発表をしたいと話した。

スマートフォンとセットで契約することにより、固定通信や電力などと同様、何らかのお得になる仕組みも提供するとしている
スマートフォンとセットで契約することにより、固定通信や電力などと同様、何らかのお得になる仕組みも提供するとしている

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