NTTドコモは3月25日、電動車椅子や足踏み式自転車などを開発する事業者3社との提携を発表した。新たに「モビリティシェア構想」を打ち出し、現在実証実験中のサイクルシェアから、モビリティシェアへと事業を拡大する方針を示している。
記者説明会で登壇したドコモ 取締役 常務執行役員である中山俊樹氏が、モビリティシェア構想を打ち出した背景について説明した。同社はスマートライフ事業を拡大し、携帯電話以外の分野で1兆円の収益を目指している。その中の1つとして環境・エコロジー分野に関する取り組みがあり、同社が力を入れているのがサイクルシェアリング事業なのだという。
「なぜ、ドコモがサイクルシェアリング事業を展開しているのか、という質問はよく頂く」と中山氏が話すように、一見すると通信事業者とサイクルシェアリングは結び付きにくい。だが中山氏によると「サイクルシェアリングの仕組みはIoTそのもの」であり、実は親和性がかなり高いという。
実際、2011年よりドコモが実証実験をしているサイクルシェアリングのシステムは、自転車に認証や課金に用いる通信モジュールと、位置情報を取得するためのGPSを搭載。さらに自転車置き場での返却状況を確認する仕組みを省スペースで実現するため、ビーコンを使用するなど通信をフル活用した仕組みとなっている。
この実証実験の結果を踏まえ、ドコモは2月2日にサイクルシェア事業を展開するドコモ・サイクルシェアをグループ会社と共同で立ち上げ、事業化に向けた取り組みを進めている。東京都が2020年の東京五輪に向け、千代田区、中央区、江東区、そして港区の4区とサイクルシェアリングの広域連携に関する協定を締結したことから、中央区以外で事業展開しているドコモも、こうした取り組みに協力する姿勢を示している。
この一方で、2020年には60歳以上の高齢者が人口の3割を占め、運動器障害などを持つ人が増えることから、快適な生活を送るためには何らかのサポートが必要になるとしている。そうした問題解決のソリューションとして、電動自転車や電動車椅子など、よりパーソナルな新しいモビリティの活用機会が増えるのではないかと、中山氏は話す。
パーソナルモビリティの市場は2015年には600億円規模だが、2020年には1500億円規模にまで拡大するとドコモは予測。そこでIoTやクラウドなどの技術によって、パーソナルモビリティをどこでも利用できるようサポートする仕組みを提供するべく、打ち出したのが「モビリティシェア構想」なのだという。
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