パシフィコ横浜で開催されたゲーム開発者向けイベント「コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス2014」(CEDEC 2014)。9月3日に開催されたセッションではドワンゴ会長室ゲーム戦略グループの伊豫田旭彦氏が「『ゲーム実況』時代のゲームプロモーション niconicoの事例から」と題し、動画サイトで盛り上がりを見せるゲーム実況にまつわるさまざまななことについて、プラットフォーマーの立場から語った。
まず最初のテーマとして語られたのは「ゲーム実況はなぜ人気なのか」。先のニコニコ超会議3でも有名実況プレイヤーのイベントでは女性ファンが大勢詰めかけるなどアイドル並みの人気もあり、海外に目を向けてもYouTubeを通じて約4億円の広告収入があるスウェーデンのプレイヤーがいることもニュースになったという。
そのテーマの答えとして「そもそもゲームが人気だから」と回答。ニコニコ動画の動画再生数ならびにニコニコ生放送の番組数で最も多いジャンルがゲームであり、YouTubeにおいても日本における上位100chの再生数でも音楽に次ぐ2番目に多い割合となっている。もちろんゲームジャンルの投稿動画でも、いわゆる“演奏してみた””踊ってみた”のような動画もあれば、「Mine Craft」で東京ディズニーランドを再現する動画もあり、多種多様だ。そのなかでもゲーム実況動画はとりわけ人気が高いという。
なぜゲーム実況動画の人気が高いのかについては「投稿数が多く、親しみやすいから」とコメント。ゲーム実況もただ単にプレイしているだけではなく、親子でプレイしたりスポーツ実況風のコメントを入れたり、はたまた超高速でプレイをするなどさまざまな工夫が凝らされている。また、5年間で3300本もの動画を投稿したユーザーなどを例に挙げ、人気の実況プレイヤーは毎日のように動画をアップするため、ユーザーは毎日放送されるテレビやラジオ番組以上に、プレイヤーの日常会話を聞くことになると説明した。
これらを踏まえ、もともと人気の高かったゲーム動画で新しいコンテンツを開拓し、ゲーム実況プレイヤーが毎日投稿して視聴者が気にしたりいつも楽しみにしているという環境を作ったから、昨今のゲーム実況の人気についてまとめた。
続いてのテーマは「ゲーム実況で売上は伸ばせるか」。ここでの売上はゲームソフトの売上のことだが、これについては「売上は伸ばせる」と回答。まずニコニコ動画で、動画の下にあるニコニコ市場というアフィリエイトサービスで一定の売上があること。伊豫田氏は、動画を見ながらもニコニコ市場を通さず購入するユーザーはその3倍から5倍はいるのではと推測する。
さらにスパイク・チュンソフトから発売されたPS3/PS Vita用ソフト「テラリア」の事例を紹介した。事前の知名度があるタイトルではなかったが、両機種で累計約25万本が販売されたという。特徴的なのは、PS Vita版のダウンロード販売の割合が高めで、継続的に販売され続けているということ。ユーザーアンケートではゲームを知ったきっかけ、購入時に参考にした情報ともに「動画サイト」が1位だったという。この結果は積極的な実況施策があったからだとしている。
テラリアでは発売前にゲーム実況プレイヤーを募集し、ソフトそのものをプレゼントするキャンペーンを実施。発売日にあわせて作成した動画がアップされ、120万以上の再生数を記録したという。また公式実況プレイ動画や実況生放送番組も定例で実施。24時間実況生放送も実施したという。こうした取り組みから、発売から1年以上にわたって動画が投稿され続けているという。
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