続いて杉村氏は、Tizenの概要について触れた。TizenはLinuxをベースとしており、推進している「Tizen Association」はLinx foundationの傘下にある。それゆえソースコードやドキュメントはすべてオープン化されており、誰でも自由に入手できる環境にあるという。
またTizenは、スマートフォンだけでなく車やテレビ、デジタルカメラなどマルチデバイスに対応するとのこと。そのためデバイスを問わず利用でき、クラウドとの親和性も高いHTML5の活用を中心に据えたプラットフォームにしているという。しかしながら、現状HTML5だけでサポートできる範囲が限られていることから、他のプラットフォーム同様、ネイティブなアプリを開発できる仕組みも必要だと杉村氏は話す。それゆえTizenは、HTML5を主軸に据えつつ、ネイティブアプリを開発できるSDKも提供し、双方をサポートする仕組みを整えているとのことだ。
さらに杉村氏は、Tizenのアプリマーケットについても言及。Tizenにはグローバルで共通して利用できる「Tizen Store」が用意されるが、一方で「顧客の顔を見て、声を直接聞けるのは、ローカルなショップやサービス提供者。顔の見える所でないと良いサービスができない」(杉村氏)と語る。そのため、各地の携帯電話事業者などが独自のマーケットを用意することも可能になっているという。またTizen Storeの審査期間についても、安心・安全を確保しながら3日以内とすばやい審査を実施していくとのことだ。
Tizenの具体的な形が見えてきたことで、注目されるのはドコモがTizenスマートフォンを、いつ、どのような形で提供するかということだ。これについて杉村氏は、2013年度の下半期に商用化を予定していると語るとともに、Tizen Storeに加えて独自の「dメニュー」を提供することを表明。さらに「dマーケット」「しゃべってコンシェル」などドコモの主要なサービスを、順次Tizen向けに対応させていくという。
また杉村氏は、ドコモとしてTizenに期待する3つの要素を挙げた。1つ目は、携帯電話事業者の基準で安心・安全を実現する仕組みを導入できること。2つ目は、自由度の高いアプリ開発が可能なこと。3つ目は、HTML5をサポートすることでデバイスを問わず、いつでも、どこでもコンテンツを利用できることだとしている。
特にHTML5については、音楽を例に上げてその可能性を解説。従来音楽を楽しむには、カセットテープやCDなどのメディアと、それを再生するための機器が必要だったが、現在はクラウドでどこでも聴ける環境が整えられている。一方、プログラムが付加価値を与えるコンテンツは、専用のプレーヤーが必要な状況が続いているが、HTML5がそれを打破する起爆剤になるのではと、大きな期待を示した。
なお、スマートデバイスジャパン 2013の初日となる6月12日には、Mozilla Japan代表理事の瀧田佐登子氏が、モバイルOS「Firefox OS」について語っている。
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