かつて人気のあった製品が終焉を迎えたことでより多くの人を引き付けているというのは、どういうわけだろうか。
その製品とは、Hewlett-Packard(HP)が米国時間8月18日に事業閉鎖を発表したモバイルOS「webOS」搭載端末のことだ。この決定は、「iPad」のような製品を目指して開発した「HP TouchPad」が事業としてほとんど成立しなかったという事実から下されたものだ。また、「HP Veer」などwebOSを搭載したスマートフォンの売り上げが、Googleの「Android」を搭載する競合他社の携帯電話やAppleの「iPhone」と比べて見劣りしていたこともある。
だが、webOSを搭載するデバイスの事業が閉鎖されることになった直後から、webOSは新たな輝きを放ち始めた。大幅に値引きされたTouchPadは飛ぶように売れ始め、webOSアプリケーションの開発者に熱い視線を向けている企業が少なくとも1つはある。まるで、HPがTouchPadにもっと適切な価格を設定し、開発者らの熱意をうまく活かすことができていれば、webOSを競争力のある製品に変えることができたかもしれないと思わせるほどだ。
ここで、8月第3週の週末に小売大手のBest Buyで起こったことを振り返ってみよう。同社は、週末にかけてTouchPadの激安販売を開始した。16Gバイトのメモリを搭載したモデルを399.99ドルから99.99ドルに、32Gバイトのモデルを499.99ドルから149.99ドルに値下げしたのだ。22日の朝までには、どちらのモデルもBest Buyのオンラインショップで売り切れとなった。
それに先立つ16日にAllThingsDが報じたところによると、Best BuyはHPに対し、売れ残ったTouchPadの山が店舗と倉庫で大きな場所を占めていることに不満を述べていたという。この記事によれば、Best Buyは27万台のTouchPadを仕入れたものの、売れたのはわずか2万5000台だったという。
こうした話はBest Buyだけにとどまらない。この週末には、Amazonでも値引きされたTouchPadが最もよく売れた電子製品となった。HPでさえ自社のサイトでTouchPadを激安価格で販売しようとしたが、購入希望者が殺到してサイトがダウンしてしまったと、米CNETの姉妹サイトである米ZDNetが伝えている。
それに加え、webOSに関するちょっとした出来事をMicrosoftが引き起こした。同社で「Windows Phone」の開発者エクスペリエンス担当ディレクターを務めるBrandon Watson氏が、webOS開発者の獲得を試みたのだ。Watson氏は、実績のあるwebOS開発者に対し、無料の携帯電話、開発者向けツール、およびトレーニングを提供してWindows Phoneへの移行を支援するとTwitterでつぶやいた。
Watson氏によれば、22日の朝までにwebOS開発者から1000通近い電子メールが送られてきたという(webOS開発者が本当に1000人もいるかどうかは疑問だが)。Watson氏はそれらの開発者に送った電子メールの中で、自分のオファーに対してこれほど多くの関心が寄せられたことに驚きを表明したと、その電子メールの内容を入手したWinrumorsが報じている
「正直なところ、これほどの反応があるとわれわれは予想しておらず、やや呆然としているところだ」(Watson氏)。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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