ソフトバンクは2月3日、中国のオンラインテレビサービス「PPTV(ピーピーティーヴィー)」を“PPLive”のブランド名で展開しているSynacast Corporation(シナキャストコーポレーション)の株式の35%を取得し、筆頭株主となったことを発表した。出資額は日本円で約200億円。
PPTVは、中国全土120局以上のテレビ局と提携し、各局のニュースやドラマ、スポーツ、アニメなどの番組を無料でライブまたはオンデマンドで配信するサービス。画質はDVD並だという。各番組の有料配信も行っており、各局の特定のジャンル(サッカー、アニメなど)の番組をまとめたチャンネル数は常時2万を超える。
中国全土での月間アクティブユーザーは2010年12月時点で1億500万人。ユーザーの1日あたりの視聴時間は2時間33分とかなり長時間だ。中国では25〜44歳のメディア依存度でオンラインテレビがテレビを抜いているという。ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は、「中国では“ネットはテレビの敵か”という議論はすでに終わっている。中国は完全に日本を越えた」と言い切る。
マルチアングル中継やチャット機能も搭載しており、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)とも連携できる。各セットボックスメーカーとも提携しており、家庭の大画面テレビで視聴することも可能。気になるのはトラフィックの問題だが、孫氏によると「PtoPとCDNを組み合わせることで多チャンネルの同時放映を実現している」という。
さらに、ソフトバンクがSynacast Corporationとの合弁企業を設立し世界展開できる権利を得たことを明かした。孫氏は、「世界のあらゆるテレビ局と提携すれば将来的には100万チャンネルも夢ではない」と興奮気味に語る。また世界展開の際は、各国のテレビ局の放送規約や著作権を考慮し、放送する番組を国ごとにコントロールはできるようにする意向を示した。
「このビジネスチャンスに非常に興奮している。ソフトバンクは過去にECサイトの淘宝(タオバオ)やSNSの人人網(レンレン)にも出資してきたが、当時はほとんどの人に理解されなかった。しかしそれが3年後、5年後にどれほど大きな意味を持ったか、最近ようやく認識が進んできた。PPTVも10年後にはそうなるだろう」(孫氏)
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