トレンドマイクロは12月19日、2007年度のウイルス感染被害年間レポート(1月1日から12月15日までのデータを集計した速報ベース、日本国内)と、この1年のウイルス状況の総括を発表した。
日本国内でのウイルス感染被害報告数は6万1870件で、2006年同時期の件数(8万8106件)に比べ約30%減少したが、被害の分散化で上位10種の感染報告数の合計(2836件)は総報告数の4.6%と過去最低を更新した。
2007年は、ウェブ経由の複合的な感染手法が猛威を振るったとしている。不正プログラムを金銭の詐取や情報の不正取得などに用いる目的指向が深刻化し、ウイルス作者はユーザーに気付かれないようウイルスに感染させる手段として、ウェブサイトを悪用しているという。
また、ウイルスの新種・亜種を大量にウェブサイト経由で感染させる手法と、巧妙なソーシャルエンジニアリング技術を組み合わせることで、ユーザーが意識していないhttp通信によるウイルスのダウンロードを行う攻撃が日常化したとも説明している。
ウェブサイト経由の感染が主流になったことで、2005年から続く感染被害の分散化傾向に拍車がかかっている。しかもMacやLinuxなど、Windowsと比較して利用者が少ないOSや、地域や言語に依存した、世界的にはマイナーなアプリケーションも攻撃対象とされる事例が相次ぎ、今後もこの傾向はますます深まっていくとしている。
ウイルス感染被害年間レポートでは、1位がバックドア「BKDR_AGENT(826件)」、2位がトロイの木馬である「TROJ_VUNDO(333件)」、3位が「JAVA_BYTEVER(273件)」、4位が同じくトロイの木馬「TROJ_DLOADER(245件)」、5位がやはりトロイの木馬の「TROJ_ZLOB(228件)」という結果になっている。
2007年の総括としては、不正プログラムがモジュール化し、最初に侵入したプログラムが他の機能を持つウイルスをウェブサイト経由で繰り返しダウンロードする攻撃が、年間を通して猛威を振るったことを挙げている。これらの攻撃の大半は、最終的にスパイウェアやキーロガーを使って情報を不正に取得することを目的としており、攻撃者の目的指向はより明確になったとしている。
正規ウェブサイトの改竄や有名サイトの偽装、スパムメールへのURL記載など、侵入経路での巧妙化も進んだ。また、未修正の脆弱性を標的にした“ゼロデイ攻撃”が2007年も数多く確認されたことも特徴としている。
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