IT管理専門企業CAのある上級幹部は、企業が顧客データのセキュリティを改善するように、アジア各国の政府はデータ侵害法を強化する必要があると指摘する。
CAで日本を含むアジア太平洋地域のセキュリティ販売担当ディレクターを務めるJerry Cox氏はインタビューで、「法律を強化すれば、顧客データの漏えいに関係するセキュリティ侵害を公開するよう企業を強制できる」と述べた。
こうした対策によってデータ漏えいの被害者を保護することができるだろうとCox氏は説明する。また、データ侵害法を強化すれば企業はデータセキュリティ対策により真剣に取り組むようになる。特に、金銭的な罰則が科される場合や公開によって評判を落とすリスクがある場合はなおさら効果的である。
Cox氏によると、こうした法律の制定に関してはアジアでは日本と韓国が最も進んでいるという。
「日本ではセキュリティ侵害が発生した場合、企業が被害を受けたユーザーアカウント単位で『おわびの意味の罰金』を支払うことがあり、その金額は膨大な額に上ることもある」とCox氏は指摘する。しかし、アジアのほとんどの国では日本のような水準のデータセキュリティは導入されていないと同氏は言い添える。
Cox氏は、カリフォルニア州の厳格なデータ侵害法が「適切なセキュリティ慣行を推進する」法律の好例だと言う。カリフォルニア州の情報セキュリティ侵害法である「SB 1386」では、暗号化されていない個人情報が漏えいした場合、企業は住民にデータセキュリティ侵害の事実を公表する義務がある。米国のその他の州でも同様の法律を制定しており、英国もその方向に動いている。
アジアではデータ侵害に対する罰則が、その事例の深刻さとそれによってもたらされる結果と比較してあまりに寛大である場合が多いとCox氏は述べる。「シンガポールではスパム業者に罰金を科すことができる。しかし、人口の半分がインターネットを利用していることから実際には見た目よりも深刻な犯罪であり、罰則をもっと強化するべきだ」(Cox氏)
Cox氏はまた、「米国ではスパム業者は懲役刑を受ける」と付け加える。
データを保護するための1つの長期的な対策は、健全なセキュリティ慣行について人々を教育し、それを誠実に実行するように要求することだとCox氏は提案する。
Cox氏はまた、アイデンティティ管理(ID管理)のような「高度な」セキュリティ対策を実施する前に適切なセキュリティの基盤を確立することの重要性を強調する。
ID管理を実施する前に、「健全な」ネットワークセキュリティの基盤を構成する要素として、ファイアウォールやウイルス防御を構築し、ユーザー権限に関するポリシーを確立するべきだとCox氏は説明する。
適切なネットワークセキュリティの基盤を持たない企業では、ID管理のような自動化されたセキュリティプロセスが機能していない恐れがある。アジア地域でも幅広いセキュリティ技術がすぐに利用できる状況にあるにもかかわらず、西欧諸国の企業と比べてアジアの多くの企業はよりリスクの高い方法を選択しているとCox氏は警告する。
「米国ではセキュリティツールが進化しているので、アジアの企業にとっても、たとえまだ導入の準備が整っていないとしても多くの選択肢が存在する」とCox氏は言う。アジアの多くの企業とは異なり、米国ではより高度なツールが発売されるたびにそれらを導入することによって自分たちのセキュリティのシステムと慣行を「成長」させてきた、とCox氏はノ述べる。
また、アジアでは企業のセキュリティポリシーがそれほど発達していない可能性があり、アジア地域の企業は最新の技術が使用可能な状況にあるにもかかわらず、米国の企業と比べて「5〜7」年遅れているとCox氏は言い添える。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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