企業のセキュリティ:物理的対策の方が不十分--関連団体が調査

 社団法人ニューオフィス推進協議会(NOPA)は11月28日、オフィスにおけるセキュリティ意識の調査結果をまとめた。

 調査によると、自社のオフィスセキュリティの安全度に対して、“高い”と答えた企業が14%、“比較的高い”が42%と、全体の6割近くが肯定的に自己評価した。業種別では、26%が「安全度が高い」と回答した“不動産業”が最も自己評価が高く、サービス業が最も低かった。また事業規模では、従業員数が多い企業ほど、セキュリティ意識が高い傾向にある。

 一方、自社で考えられる情報漏洩経路として“紙媒体”(57%)が圧倒的に多く、以下、“PC本体(PC自体の紛失、盗難など)”(24%)、“メール”(8%)の順。また、7割を超える金融系企業が紙媒体からの情報流出を懸念しており、“PC本体”(9%)を大きく上回った。つまり、技術面よりも書類などから情報が漏洩する物理的セキュリティ対策の方がまだ不十分であることが明らかになった。

 さらに、企業規模別に見ると、従業員数100人以上の企業約7割が“紙媒体経由”での情報漏洩を懸念している反面、20人以下の企業のうち3割近くが“PC経由”を心配しており、規模の小さい企業ほど、PCの管理が徹底されていない傾向にあると考えられる。

 得意先や顧客からオフィスセキュリティに対する指摘や要望を受けた経験について、25%が“ある”と回答。なかでも、4割の金融系企業がセキュリティに関する要請を受けた経験があると答え、金銭や個人情報などを扱う事業者として、より高いセキュリティー対策が求められている実態がうかがえる結果となった。

 さらに、セキュリティの強化に対して、“すぐに強化しなければならない”“いずれ強化しなければならない”と考えている企業が合わせて86%。とりわけ、約半数の金融系業者が“すぐに強化しなければならない”として、高いセキュリティ意識が示された。

 調査は2006年7月18日から10月31日の間、サービス業、製造業、小売卸業、建設業など10業種1722企業を対象に、インターネットによるアンケート形式で行われた。

 同団体は1987年に当時の通商産業省の諮問機関であるニューオフィス推進委員会により、日本におけるニューオフィス化を推進する団体として設立。新しいワークスタイルやオフィスのあり方などに関する研究調査、情報の収集、提供を主に行っている。また、「オフィスセキュリティーマーク制度」を設立し、オフィスにおける物理的なセキュリティ対策を適切に実施している企業に対して認証を行っている。

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