Symantecは今週に入り、Microsoftの「Windows Vista」に同梱されるスパイウェア対策製品「Windows Defender」のAPIを提供するよう同社に求めたが、拒否されていることを明らかにした。APIを参照できなければ、同社のセキュリティ製品とVistaの互換性を検証できないと、Symantecは苦言を呈している。
Symantecの欧州担当バイスプレジデントJohn Brigden氏は、「Microsoftは故意にボトルネックを作り出し、ユーザーが同社の製品に乗り換えるよう誘導している。支配と統制にほかならない行為だ。彼らはわざとAPIの提供を遅らせている」と話した。
Microsoftは米国時間9月27日、Symantecの懸念に応え、今週初めにDefenderのAPIを利用できるようにしたと述べた。
Microsoftの関係者は、「パートナーや顧客と話し合った結果、APIを介したWindows Defenderのアクセスについて、セキュリティソフトウェア企業がプログラム的に無効化できるようにすることを2006年8月に決めた」と話している。
さらに同社は、「DefenderのAPIを提供する件は、(米国時間)2006年9月22日にセキュリティパートナー各社に通達した。Symantecは同APIに基づいた開発を進めることを確かに要請していたが、米国時間9月25日にはその許諾を得たとわれわれは理解している」とした。
Microsoftは、9月初旬に配布したVistaの製品候補第1版(Release Candidate 1:RC1)から、Windows Defenderを無効化できる機能を追加している。同社によれば、ソフトウェア開発キット(SDK)と呼ばれる開発者向けの添付情報に同機能の詳細が記されていなかったことから、業界の間で誤解が生まれたのではないかという。
Microsoftのビジネス開発担当マネージャーAdrien Robinson氏は、「RC1をリリースした2週間後に、追加情報を掲載した文書を発表している。通常は正規のアップデートとともに提供する類の文書だが、今回は予定外の措置を取った。RC1のリリース直前に同機能を追加したので、SDKにはその詳細を含めることができず、こうした混乱を招いてしまったのだと思う」と述べている。
それでもSymantecは、APIはいまだに利用可能な状態になっていないと主張する。
同社は、Vista対応の「Norton」ウイルス対策製品を10月中にPCメーカーへ出荷する予定であり、APIが提供されるタイミングには神経をとがらせている。
「だれひとりとして、Defenderに関する情報提供は受けていない。当社はOEM出荷を10月に控えており、3週間ばかりしか余裕がないというのに」(Brigden氏)
Symantecは、Dell、Fujitsu、Hewlett-Packard、IBM、Sony、Toshibaなど多くのベンダーとOEM契約を結んでいる。MicrosoftからのAPI提供が遅れることで、Vistaと互換性のあるウイルス対策ソフトウェアを期限内に開発できなくなるのではないかと、Symantecは憂慮している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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