欧州連合と米国との間で取り交わされた乗客データの譲渡を認める2004年の協定は、ルクセンブルクの欧州裁判所により違法であるとみなされた。
この判決は、「予約記録(Passenger Name Records:PNR)」と呼ばれるデータ交換に関する欧州議会による6件の嘆願を受けたものである。
本協定は、欧州議会の反対をよそに、2年前に欧州委員会と米国との間で取り交わされた。航空会社各社は、欧州の法律下では当初は非公開とされていたデータの公開を義務づけられた。従わない場合は米国における着陸権を取り消される。
今回欧州裁判所は本協定について、欧州共同体法に反するとの判決を下し、無効にされるべきであると結論づけた。これによりPNRデータの交換は、9月末で中止される。他方で航空会社各社は、要求されたデータ交換にコンピュータシステムを対応させるために多額の資金を投じる必要があったと訴えている。
近年いわゆる「搭乗禁止(no-fly)リスト」により、一部のフライトが欧州に引き返させられたり、 カナダに着陸先を変更させられたりしている。このリストには、クレジットカードの履歴とともに、このようなPNRデータが蓄積されている。
欧州裁判所は6件の嘆願のうち、最初の案件しか審理していない。主に欧州委員会が協定を交わした際のテクニカルな法的根拠が考察の対象となった。このことは欧州議会メンバーの多くを落胆させることになるであろう。欧州裁判所がプライバシーの問題を根拠に判決を下すことを期待していたためである。
協定自体が取り消されたため、もはや他の争点は無意味であると欧州裁判所は言う。「最初の嘆願に含まれる他論点や欧州議会による他の嘆願を考察する必要はない」と欧州裁判所は述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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