開発途上国でスパムメールがまん延しつつある・・・国際的なデジタルデバイドの拡大につながりかねないこうした事態を、最新の調査が明らかにした。
経済協力開発機構(OECD)が先週発表したレポートによると、マレーシアやネパール、ナイジェリアなどの国では、ネットワーク帯域/技術的ノウハウ/資金が不足しており、迷惑メールに効率的に対処できていないという。
その結果、開発途上国のウェブユーザーは、先進国と比べて故障が多く、信頼性の低いサービスをやむを得ず利用していると、OECDは述べている。
OECDのアドバイザーであり、Outblaze.comの運営も行うSuresh Ramasubramanianは、「開発途上国では、スパムは非常に深刻な問題である。スパムは、途上国の乏しくも価値の高い資源を次々に吸い上げている」とレポートに記した。
また米国や欧州だと規制当局やISPによる監視の目が厳しいため、スパム業者は、途上国でオンラインショップを開設するようになっている。途上国のISPがスパム業者にたびたび悪用されていることから、海外の多くのプロバイダは途上国のISPを「接続遮断リスト」に含めるようになってしまった。これにより、電子メールサービスなどに問題が生じ、スパム業者だけでなく一般のウェブユーザーも影響を受けている。
レポートの一節は、「大々的な接続遮断にいかなる正当性があろうとも、途上国のISPがしばしばこうした憂き目にあっていることは動かしがたい事実だ」と指摘している。
電子メールサービスを提供するISPが1社しか存在しない国では、そのISPが遮断リストに掲載されると、電子メールへのアクセスが全面的に絶たれてしまう。数年前のコスタリカがまさにこうした状況で、同国からの電子メールは、スパム対策グループSpamhausによって丸2日間受信拒否されたことがあった。
途上国においても、個人と企業がスパムの影響を最も受けている。特に、途上国のウェブユーザーはインターネットカフェでダイヤルアップ接続を利用したり、1分ごとの利用料を支払ってインターネットに接続したりすることが多く、迷惑メールが大きなフラストレーションの原因となっていると、レポートには記されている。
「手間と金をかけて電子メールにアクセスしても、スパムやウイルスメールの山を目にするだけでは話にならない」(同レポート)
OECDレポートでは、途上国におけるスパム問題を緩和する多数の施策も提案されている。同レポートでは、途上国のISPに対して、スパム検知技術に投資をするか、サードパーティ製のフィルタリング技術を導入すること、ならびに、厳格なスパム対策ポリシーを策定することを提案している。
さらに、途上国はコンピュータ緊急対策チームを立ち上げ、大規模なインシデントの発生時や、脆弱性が発見された場合の対処に当たらせるべきだと、OECDは勧告している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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